技術解説(富士フイルムメディカル)
2013年8月号
Women's Imaging 2013 最新技術
乳腺エラストグラフィ定量化の新ステージ
2013年で発売から10年を迎えた“Real-time Tissue Elastography*”は,柔らかい組織は変形しやすく硬い組織ほど変形しにくい性質を利用し,微小部位の組織変位を計測して,その歪みをリアルタイムに可視化できる機能です。さらに,2点間の歪みの比(Strain Ratio)により腫瘤の相対的な硬さを求めることができ,乳腺においては脂肪(Fat)と腫瘤(Lesion)の歪みの比(FLR:Fat Lesion Ratio=Fat/Lesion)を計測します。一般的に,脂肪は正常乳腺と比べて,性周期や人によって硬さの変化が少ないと推測されています。また,脂肪は柔らかく歪みが大きいのに比べ,硬い腫瘤であるほど歪みが小さく,高いFLR値を示します。
従来のFLR計測では,エラストグラフィを描出した後,腫瘤と脂肪層のそれぞれにROI(Region of Interest)を手動で設置していました。ROIは,Bモード像の低エコー領域におおむね内接する円形のROIを設置し,さらに脂肪層にも同様に設置します。そのため,目視判断と注意深い手作業が必要でした。
その問題を解決するために,われわれは,ROI設置にかかわる操作をサポートする“Assist Strain Ratio”を開発しました。エラストグラフィを描出した後,検査者が腫瘤の中心を指定すると,腫瘤と脂肪層に自動でROIが設置され,FLR値が算出されます(図1)。このAssist Strain Ratioにより,検査者間での計測誤差を低減するだけでなく,計測にかかわる操作を簡略化することで,検査効率を向上できると期待されています。
*Real-time Tissue Elastographyは,株式会社日立メディコの登録商標です。
【問い合わせ先】日立アロカメディカル株式会社メディカルシステム営業本部 TEL 0422-45-5122
URL http://www.hitachi-aloka.co.jp