技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2017年12月号

動画対応DRシステムの最新技術

頭腹部領域における「Infinix Celeve-i Rite Edition」

廣瀬 聖史(キヤノンメディカルシステムズ(株)X線営業部)

X線アンギオグラフィシステム「Infinix Celeve-i シリーズ」は,発売以来多くのお客様からさまざまなご意見をいただき,製品に反映してきた。画質,線量低減,そして使いやすさを求めた最新の「Rite Edition」について紹介する。
従来の画像処理コンセプト“PureBrain”では,特許技術であるノイズ低減処理“Super Noise Reduction Filter(SNRF)”を中心とした,デジタル画像処理による透視画質向上を実現した。Rite Editionでは,PureBrainの高画質を保ちつつ線量を低減すべく,画像チェーンのすべてを見直し,ハードウエアおよびソフトウエア共に改良を行った結果,“PureBrain Rite”へと進化している。代表的な改良点を紹介する。

■X線平面検出器(FPD)の改良

PureBrain Riteでは,FPDを改良し,X線を画像信号としてとらえる効率を示す検出量子効率(detective quantum efficiency:DQE)を,従来装置65%(0lp/mm)から77%(0lp/mm)に高感度化した。
また,今回の改良にて,コーンビームCT機能である“LCI(Low Contrast Imaging)”の高速撮影機能を可能とし,従来装置では最短10秒程度かかっていた回転撮影が,5秒程度まで短縮した。これにより,息止め時間の短縮による画質安定と造影剤量の低減が可能となる。

■X線制御の改良

カテーテルを目的部位に到達させる上で,X線透視画質は重要である。透視画像を安定させるために,さまざまな画像処理を施し視認性を上げてきたが,X線制御が適正でなければ,最適な画像をつくり出すことは難しい。PureBrain Riteでは,automatic brightness control(以下,ABC)を改良した。PureBrainでは,ABC制御の関心領域(ROI)内の被写体すべてでX線条件を決定していたため,デバイス操作に関係のない肺野などの薄い被写体に明るさを合わせ,必要な部位の視認性を低下させることがあった。PureBrain Riteでは,“ROI Control”という新たなABC制御により,ROI内の被写体厚の薄い部分は線量計算から除外し,体厚のある部位での適切なデバイスの視認性を確保する(図1)。
LCIにおいても,撮影中に被写体厚を感知し,リアルタイムにX線条件を変更することで,再構成画像の画質向上を果たした(図2)。

図1 ABCの違い 肺野ファントムでの比較

図1 ABCの違い
肺野ファントムでの比較

 

図2 LCIにおけるX線制御の違い PureBrain Riteではノイズが減少し,➡部分で視認性が向上している。

図2 LCIにおけるX線制御の違い
PureBrain Riteではノイズが減少し,部分で視認性が向上している。

 

■画像処理

DSA撮影において,患者体動により引き起こされるミスレジストレーションアーチファクトが画質劣化を招く。従来装置では,撮影後ピクセルシフト機能の操作により画像補正を行う。ピクセルシフトは,マスク像を画像の水平方向と垂直方向に最適な移動量を決めて画像補正するが,患者の動きは平行移動では解決できないことが多い。PureBrain Riteでは,回転を含む次元を上げたマスク像移動量をデジタル装置が自動計算し,適応させる。従来装置より,ミスレジストレーションアーチファクトを抑え,画質を向上させた(図3)。また,このピクセルシフトは,撮影直後から手動操作なく自動的に実行する設定を持っており,ワークフローも向上させる。
Rite Editionでは,コンポーネントの見直しに伴う,X線条件の最適化により,低線量化を推進している。その結果,従来に比べ約50%線量を低減した例もある1)
Infinix Celeve-iシリーズ Rite Editionでは,コンポーネントの最適化により画質と線量低減を実現し,ワークフローの改善にも積極的に取り組んでいる。

図3 DSAのピクセルシフトの違い

図3 DSAのピクセルシフトの違い

 

*Infinix CeleveおよびPureBrainは,キヤノンメディカルシステムズ株式会社の商標です。

●参考文献
1)黒瀬武文 : 最適化が導くインターベンションサポートシステムの到達点「Infinix Celeve-i Rite Edition」, INNERVISION, 32・4, 30 〜31 2017.

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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