技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2017年1月号

メーカーが考えるオートプシー・イメージング(Ai)用CTとは

Aiに必要とされるCT技術

東芝メディカルシステムズは1978年に日本初の全身用CT装置を発売して以来,最先端技術の開発と高度医療に貢献する製品の提供を続け,3万5000台以上のCT装置を世界各国の医療施設に導入いただいている。
近年,死亡時画像診断(Autopsy imaging:Ai)において,CT装置は重要な役割を果たすことが期待されている。当社は,Aiにおいても患者位置決めから画像処理までの最適なCT技術を提供しており,以下に紹介する。

●780mmワイドボアによるさまざまな体位への対応
2010年に日本放射線技師会から発行された「Aiにおける診療放射線技師の役割─X線CT撮像等のガイドライン(院内Ai実施編)」では,16列以上のCT装置が推奨されている。異状死症例の場合,架台ボアの制限により撮影部位ごとに体位の変換が必要となり,遺体を損傷させてしまうことがある。当社は,2015年以降に市場導入した16列以上のすべてのCT装置において780mmのワイドボアを実現し,体位変換なしでの全身撮影を可能とした。

●“SEMAR”による金属アーチファクト低減
Aiでは,歯の治療痕から身元確認を行うことが多く,その際,義歯からの金属アーチファクトが照合の妨げになる。当社が開発したSEMAR(Single Energy Metal Artifact Reduction)は,逐次近似再構成を応用した技術で,投影と逆投影を複数回繰り返すことにより,金属から発生するアーチファクトのみを効果的に除去し,身元確認精度の向上が期待できる。

●“Boost3D”によるストリーク状アーチファクト低減
Aiでは死後硬直などによって適切なポジショニングができない場合が多く,固定された腕から胸腹部にストリーク状アーチファクトが発生する。Aiにおいては,低被ばくよりも高画質,アーチファクト低減が求められることが多い。Boost3Dは生データから三次元方向のノイズ量を推定することで,特にAi高線量撮影時にストリークを効果的に低減し,アーチファクトの少ない画像を提供することができる。

Aiに必要とされるCT技術を紹介した。今後も当社は,撮影目的を考慮した架台・寝台のデザイン,画像処理技術の開発,最適な撮影プロトコルの提供など撮影目的に合わせたソリューションの提供に努めていく所存である。

*SEMAR,Boost3Dは東芝メディカルシステムズ株式会社の商標です。

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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