技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)
2015年4月号
Cardiac Imagingにおけるモダリティ別技術の到達点
循環器動画ネットワーク・レポートシステム「CardioAgent Pro」
大江 光雄(SI営業部)
「CardioAgent Pro」は,血管造影および超音波の動画像をサーバに保管して配信するとともに,レポートを記録するシステムである(図1)。近年,治療が高度化するに伴い,検査,治療,フォローアップをレポートに記録して診療録として使用するとともに,統計で治療の有効性を評価することが重要になってきた。
■専門性の高いレポート
CardioAgent Proは国内では340以上の施設,また,レポートは270以上の施設で,最も多くのユーザーに使用されている。電子カルテや周辺装置から情報を集め,また,各種解析結果を取り込んで専門性の高いレポートに仕上げるもので,大学病院から循環器専門病院,および一般病院に至るまでの種々な病院で運用されている。
■不整脈関係の画像
検査マッピングや波形などの画象はDICOM形式ではないものが多い。これらの画像を撮影画像と同様にサーバ管理できるようにした(図2)。これにより,検査全体の画像を電子カルテなどで一括レビューできるようになった。
■植え込みデバイス台帳
植え込みデバイスのフォローは,自宅から遠隔モニタリングしたり,来院してプログラマで調整してもらう。そこで,遠隔モニタリングの各メーカーで保管されているデータをレポートに取り込めるようにした。また,プログラマから調整結果をレポートに取り込めるようにした(図3)。これらにより,散在していたデータをレポートに集約した。
■看護記録
看護記録は,検査中の患者状態,薬剤,手技,結果をログとして記録するものである。特に,血圧などのバイタルを術者モニターから数値を読んで記録することは,かなりのストレスであった(図4)。そこで,看護記録PCにバイタルモニタをはめ込み,操作できるようにした(図5)。さらに,バイタル情報は一定間隔および必要時に看護記録に取り込めるようにした。
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■予約簿(循環器運用サポート)
検査オーダに検査室割,時間割を追加して予約簿を作成する。また,当日は検査開始,終了を色分けする。さらに,病棟への送迎を指示する。これにより,部門全体が効率良く運用できるようにした。
■被ばく管理
被ばく管理方法は2種類ある。1番目は撮影装置の被ばく結果をレポートに残す(図6)。2番目は撮影・透視ごとの面積線量と,撮影角度および寝台の位置より被ばく線量分布図を作成する(図7)。これらにより,定量的に被ばく管理をできるようにした。
■超音波検査のレポートシステム
超音波検査では,短時間に検査して迅速にレポートを作成する必要がある。一方,緊急時に名前が確認できないまま検査したり,患者名を切り替えずに検査するミスもある。このような状況を想定してスムーズに運用できるシステムを開発した(図8)。具体的には,(1) オーダを取り込む,(2) 診察券などで患者を同定して検査装置にオーダ情報を送信する,(3) レポート端末で患者情報修正,画像選択などの検像をする,という流れにした。さらに,レポート作成(図9)は,(4) 画像とレポートの一体化,(5) 装置の計測値取り込み,(6) 計測漏れのレポート端末での再計測,(7) Wall Motion Scoring,(8) シェーマの選択および描画などにより,短時間でわかりやすいレポートが仕上がるようにした。
■データベースの二次利用
各種学会への症例レジストリは,レポートからオンライン登録できるようにした。また,検査数・治療数の集計,さらに学会発表用に任意の項目で検査ごと,および治療血管ごとに統計が取れるようにした。本システムは日本カーディオコア(http://www.cardiocore.net/ )で大規模スタディにも活用されている(図10)。
■地域密着型サービス体制
CardioAgent Proには多くの機能があり,24時間使用される。その反面,故障すると病院全体に大きな影響を与えるので,故障時には迅速に修復する必要がある。そのために,全国どこでもサービスがすぐに駆けつけられる体制を敷いている。
〈謝辞〉
本システムの開発に多くの病院,および関連装置・デバイス関係者にご協力いただいたことを感謝いたします。
* CardioAgent Proは東芝メディカルシステムズ株式会社の商標です。
●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/