2020年1月に薬機法認証を取得した
PACS製品「Vue PACS」

フィリップスは，グローバルに展開する4つの目標の達成に向けて，人，情報，技術を結びつけるために，デジタル化を強力に推進している。その一環として，2019年3月にCarestream Health（ケアストリーム）のヘルスケアITシステム（HCIS）事業の買収を発表した。ケアストリームのHCIS部門は，世界中の複数施設連携型の病院や放射線検査プロバイダ，イメージングセンター，専門クリニックなどにヘルスケアITソリューションを提供し，顧客と強い関係を築いてきた。2019年8月の買収完了から約半年が経過した2020年1月22日，フィリップス・ジャパンは買収したPACS製品「Vue PACS」の薬機法認証を取得。日本国内における旧ケアストリーム製品の完全なインテグレートが完了し，PACSに本格参入を開始する。

●高精度・スピーディな自動位置合わせが特長の「Vue PACS」

ケアストリームから買収したヘルスケアIT製品の中核をなす医用画像管理システム「Vue PACS」は，3Dや解析機能を搭載しながら，読影効率を向上するユーザビリティを実現したオールインワンのPACSである。PET/CTやマンモグラフィも含めたマルチモダリティに対応する。
Vue PACSの特長の一つが，スピーディで高精度な“自動レジストレーション”である。画像を前回検査と比較表示する際，高速な三次元位置合わせ処理により，リンクするスライスを自動検出。拡大率やスライス厚の違いも踏まえ，同一サイズで，最寄りのスライスを自動で同期表示する。比較する画像は，同一モダリティの過去画像だけでなく，他モダリティ（CT，MRI）の画像や他院で撮影された画像にも対応する。
位置合わせの操作はシンプルで，例えば，今回画像と前回画像をビューワに表示した状態で，今回画像をスクロールして関心領域となるスライスを表示する。その状態で，今回画像と前回画像を順にクリックするだけで，今回と前回の同一断面が表示される。この自動位置合わせでは，過去画像から同一断面のMPRを自動生成して同期することもできる。放射線科医の読影においては，過去検査とのフォローアップが重要であり，過去の画像を表示して同一の解剖領域で照合，比較する。自動レジストレーションと，ユーザーインターフェイスのカスタマイズ機能で，日々多くの画像を読影する医師の負担を軽減し，読影ワークフローの向上に貢献する。

「Vue PACS」の自動レジストレーション操作イメージ

●Oncology領域のカンファレンスを支援する「IntelliSpace Precision Medicine」

フィリップスでは，Oncology領域に向けたソリューションとして，前立腺を対象とした超音波とMRIのフュージョンバイオプシー「UroNav」，放射線治療計画装置「Pinnacle³」，デジタルパソロジー（デジタル病理画像を用いた病理診断補助）を提供している。そして今回，これらを統合するITプラットフォーム「IntelliSpace Precision Medicine」を新しくリリースする。フィリップスのめざす目標の一つである“個別化医療”の実現をサポートするソリューションだ。
Oncology診療では，画像や検査結果，病理，放射線治療計画，ゲノムなど，さまざまなデータをカンファレンスで検討し，治療方針を決定する。IntelliSpace Precision Medicineでは，形式がそれぞれ異なるデータを各システムから自動収集し，“Multi Disciplinary Tumor Board Dashboard”と呼ばれる画面にまとめて表示することができる。カンファレンスでは，このダッシュボードだけでデータを俯瞰し検討することが可能で，従来のように準備に多くの時間を費やしたり，カンファレンス中にさまざまなシステムやビューワを立ち上げ，切り替えたりする必要がなくなる。効率的なカンファレンス運営と，いち早い治療方針の決定に貢献するソリューションとして，日本国内でも提供が開始される予定となっている。

個別化医療の実現に貢献する「IntelliSpace Precision Medicine」

（文責・編集部）