医用画像博覧会 2020 ホロジックジャパン - マンモグラフィ
読影負担の軽減でトモシンセシスをより身近にするソフトウエア“3DQuorum”を販売開始
2020-4-13
トモシンセシス読影を支援する“3DQuorum™”をリリース
●10周年を迎えるトモシンセシスを搭載したデジタルマンモグラフィシステム
ホロジックが,世界で初めての3D™マンモグラフィ(トモシンセシス)を製品化してから,2020年で10周年を迎える。デジタルマンモグラフィ「Selenia® Dimensions®」をはじめとした同社のマンモグラフィは,全世界で2万5000台以上設置され,7500万人以上の女性の健康に寄与してきた。同社のトモシンセシスは,2D画像*と比べて浸潤がんの検出率が平均41%増加する,偽陽性による要精検率が最大40%減少するといった臨床研究が報告されており,豊富なエビデンスがあることが大きなアドバンテージとなっている。
同社マンモグラフィによるトモシンセシス撮影では,投影角度−7.5°〜+7.5°の範囲を,3.7秒で15回照射する。得られたデータから1mmスライスの画像を再構成し,読影医はビューワで3D™画像をスクロールして読影を行う。3D™画像では乳腺の重なりを排除した画像を確認できるため,乳腺の重なりに隠れてしまうような病変の検出や,乳腺が重なることで病変に見えてしまう偽陽性の抑制が期待できる。
*同社比
2019年に国内で販売開始された「3D™ Performance」は,トモシンセシスの普及をめざしたシステムである。マンモグラフィ検査における被検者の不快感を軽減するためのオプションが用意され,快適な検査の提供を支援する。1つ目は人間工学に基づいて設計された圧迫板「SmartCurve™」である。角に丸みを持ち,圧迫面にカーブを付けて乳房に沿った形にすることで,平面の圧迫板と比べ,圧迫時の痛みを軽減することができる。ポジショニングやワークフローは従来の圧迫板と変わりはなく,ポジショニングの際には過度な圧迫をせずに乳腺がしっかり広がって観察しやすいといったメリットもある。サイズは,18cm×24cm,24cm×29cmの2種類が用意されている。2つ目に撮影台に貼れるスポンジ状のディスポーザブルクッション「MammpPad®」が挙げられる。撮影台に直接乳房を乗せる場合と比べ,痛みや不快感を軽減し,より衛生的な検査が可能になる。
また,ハイグレードモデル「3Dimensions™」には,トモシンセシス画像再構成アルゴリズム“Clarity HD”が実装されている。1画素を1ピクセルとして処理するノンビニング処理により,トモシンセシス画像が2D画像と同じ1画素70μmの高精細化を実現。従来よりも鮮鋭度と粒状性の高い画像を取得可能になった。また,この高画質化したトモシンセシス画像から合成2D(Intelligent 2D™)の生成も可能だ。微小石灰化やスキンラインの描出にも優れ,通常の2Dに近い画像を提供する。3Dimensions™でも,圧迫板SmartCurve™やMammoPad®を使用することができる。
なお,ホロジックのマンモグラフィシステムは,ソフトウエアやハードウエアの追加によりアップグレードができることも大きな特徴である。常に新しい技術や価値を臨床現場に提供したいという同社の思いの表れと言えよう。
●トモシンセシスの読影負担を軽減する“3DQuorum™”
2020年4月1日に,新しいソフトウエア“3DQuorum™”がリリースされた。トモシンセシスは,ホロジックが開発,製品化して以降,多くの臨床現場で活用されているが,2D画像*と比べると読影負担が大きいことが課題であった。日本においては,乳腺外科医がマンモグラフィを読影するケースも多く,診察や手術などの業務と合わせて多忙を極めることから,読影負担の軽減が特に求められている。3DQuorum™は,トモシンセシス画像の読影を効率化し,医師の負担を軽減するために開発された。
3DQuorum™は,トモシンセシス撮影で得られた1mmスライス厚の画像から,“SmartSlice”と呼ばれる6mm厚の画像を再構成する。この際,3mmごとにオーバラップしてSmartSliceを再構成することで,画像情報の欠損を防いでいる。SmartSliceの再構成においては,同社の人工知能(AI)技術“genius AI™”を用いたアルゴリズムにより,画像上の特徴を識別し,情報を適切に重み付けしており,1mm厚のトモシンセシス画像と同等の画質,感度,精度で読影することが可能だ。
例えば,トモシンセシスで1mmスライス厚の画像が100枚ある場合,再構成された6mm厚のSmartSlice画像は30枚となる。トモシンセシス画像の枚数を66%減らすことができ,読影時間を15%短縮することが可能だ。これは8時間読影した場合に換算すると,1時間の短縮に相当し,読影負担を大きく軽減することができる。トモシンセシスをすでに使用している,あるいは読影負担から導入を躊躇している医師にとって朗報と言える。
また,SmartSliceのもう一つの効果として,トモシンセシスの1mm厚画像と比べて,データ容量を50%以上削減することができる。サーバ容量の確保という隠れたコストの削減に貢献すると期待される。
*同社比
●BI-RADS 5th editionに対応した乳腺密度評価ソフトウエア“Quantra™ 2.2”
乳腺密度評価ソフトウエア“Quantra™”がバージョンアップし,4月1日に“Quantra™ 2.2”としてリリースされた。Quantra™ 2.2はBI-RADS 5th editionに対応し,乳房構成の解析結果をa〜dで表示する。また,前バージョンでは画像を“Cenova™”(解析用サーバー)に送信して解析をする必要があったが, Quantra™ 2.2ではマンモグラフィのコンソール上で解析が可能になった。撮影後,画像を送信すると自動で解析が行われ,画像とともに解析結果がビューワに送られる。なお,解析は2D画像,3D™画像のいずれに対しても可能で,2D撮影を省略して3D™撮影だけを行っている国・地域でも解析結果を表示できる。
●被検者の負担を軽減し,高スループットなバイオプシー検査を支援する「Affirm® Prone Biopsy System」
腹臥位式乳腺バイオプシー専用システム「Affirm® Prone Biopsy System」は,画素サイズ70μmの直接変換方式FPDを搭載したシステムで,トモシンセシスガイド下,ステレオガイド下のバイオプシーに対応する。被検者は腹臥位となり,ベッドの開口部から乳房を下垂して圧迫,穿刺を行う。マンモグラフィによるバイオプシーと比べ,腹臥位のため体動がなく安定した検査が実施でき,被検者には穿刺の様子が見えないことから心理的負担が少ないというメリットがある。トモシンセシス,ステレオともに撮影時Cアームは自動で可動し,トモシンセシスガイド下では1回の撮影でターゲティングが可能など検査スループットも良好で,入室から退室まで30分程度で検査を実施できるため,撮影回数の減少に伴う検査時間の短縮および被ばくの低減が可能である。
ベッドの開口部に設置するクッションは3種類,圧迫板4種類が用意されている。ターゲットが腋窩に近い場合などには,開口部から上肢を下垂するthrough armも可能で,専用の手台に上肢を乗せることで,安定した体位で検査をすることができる。
(文責・編集部)
●お問い合わせ先
社名:ホロジックジャパン株式会社
住所:東京都文京区後楽1-4-25
TEL:03-5804-2340
URL:http://hologic.co.jp/