技術解説(シーメンスヘルスケア)
2023年5月号
US Today 2023
「ACUSON Sequoia」の「Quantitative Ultrasound」
安田 直人[シーメンスヘルスケア(株)超音波事業部マーケティンググループ]
超音波画像診断装置がより信頼されるモダリティとなるためには,さらなる挑戦が必要であるとSiemens Healthineersは考えている。例えば,超音波による診断は,患者の体格や施行者の経験・習熟度に依存し,その客観性が疑問視されることがある。定性的とも言われる診断を定量化し,客観性を高めることも,われわれのすべき挑戦の一つであろう。「ACUSON Sequoia」(図1)は,その挑戦者である。
今回はACUSON Sequoiaの新たなアプリケーション「Quantitative Ultra sound(QUS)」による肝臓領域における定量化機能について紹介する。
■肝線維化の定量:肝硬度計測Auto pSWE
ACUSON Sequoiaに新たに搭載された「Auto pSWE」は,肝線維化定量に多く用いられているポイントシアウェーブエラストグラフィ(pSWE)計測の,多点同時化とその自動化を両立し,定量値の統計的安定度を改善している。計測は最大15か所のポイントをワンクリックの操作で同時実行することができる。シアウェーブ速度(SWV)の中央値は数秒で表示され,各ポイントの計測結果も参照することができる。
従来のpSWEが必要としたクーリング・タイムを同時取得シーケンスの中で吸収し,検査結果精度の向上および計測時間短縮によるワークフロー改善が実現されている。
■肝脂肪化の定量:Ultrasound Derived Fat Fraction(UDFF)
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)は,潜在患者も含めて増加の一途であり臨床家に注目されている。NAFLD早期診断のために,非侵襲的な肝脂肪沈着量定量化のニーズが非常に高まっている。ACUSON Sequoiaでは「Ultrasound Derived Fat Fraction(UDFF)」を搭載し,肝脂肪化の定量評価を可能にした。
現在,超音波画像診断装置での脂肪化評価は減衰係数によるものが主流であるが,UDFFでは減衰係数に加え,脂肪滴の増加・増大など,組織の形態的違いをよく表す後方散乱係数を計測アルゴリズムに採用し,肝臓内の脂肪含有率をパーセントで示すことができ,係数よりもシンプルな数値解釈が可能と考えている。UDFFのパーセント表示は,MRIによる脂肪評価法(MRI-PDFF)との線形的相関が臨床的に確認されており(図2),MRI-PDFFと同じ判断基準で脂肪肝の評価が可能である。
腹部深部の診断精度向上をめざすDAXトランスデューサとともに,腹部用の高周波トランスデューサ(図3)でも肝脂肪定量計測が可能であり,小児から成人と幅広い患者に対応できる。
さらに,ACUSON SequoiaのQUSは,前述のAuto pSWEとUDFFの同時計測を実現し(図4),肝臓の線維化と脂肪化の同時評価により,脂肪肝から脂肪肝炎,肝硬変に至る一連のNAFLDの診断を可能にしている。
◎
ACUSON Sequoiaの挑戦である肝硬度計測Auto pSWEと肝脂肪計測UDFFは,腹部領域での検査の客観性向上と効率化を両立させるものと考えている。
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