技術解説(シーメンスヘルスケア)
2014年8月号
Women's Imaging 2014 最新技術[Breast Imaging]
低被ばくと診断精度向上に寄与するグリッドレス撮影技術および乳腺トモシンセシス「MAMMOMAT Inspiration PRIME Edition」+Tomosynthesis
シーメンスでは,被検者保護,術者保護を具現化する独自のソリューション“CARE”に取り組んでいます。乳房はX線感受性が高いため,「MAMMOMAT Inspiration」の商品コンセプトの根幹に「低被ばく」を据えています。
●PRIMEテクノロジー
ピクセルサイズの最適化やW(タングステン)ターゲットの特性を生かした高感度FDの採用により,4cmの乳房厚で平均乳腺線量約1mGyと低被ばくを実現したMAMMOMAT Inspirationですが,新たにラインナップされたPRIME Editionでは,グリッドレス撮影によって乳房透過後のX線を最大限活用しつつ,新たに開発した独自のアルゴリズムにより,ソフトウェアで散乱線除去を行うPRIMEテクノロジーを搭載しています(図1)。乳房⇔FD間でのグリッドによるX線の減衰がなくなり,照射線量を最大30%低減できます。また,再構成アルゴリズムが乳房内部構造を見極めて散乱線の影響を取り除き,診断に適した画質が得られるので,被ばくによる被検者の不利益をこれまで以上に低減します。
●AST(All Slices Tomosynthesis)
重層的に重なる乳腺組織の中で,X線吸収がきわめて近い腫瘤性病変を描出するのが困難というマンモグラフィの原理的な問題に対し,MAMMOMAT Inspirationでは組織の重なりの影響を排除した診断画像が得られるトモシンセシスをオプション搭載しています(図2)。
診断精度をより高めるため,厚み方向の分解能,乳房全域での描出能に優れた撮影方法や画像再構成方法が必要です。また,通常のマンモグラフィと同解像度(85μm)で画像収集し,情報の不一致をなくすことも重要です。MAMMOMAT Inspirationでは,これらを実現するために,X線管を±25°の範囲で回転移動しながら25回撮影し,通常と同じ解像度でデータを収集します。また,ばく射回数が多いにもかかわらず被ばくを抑えており,通常のマンモグラフィとの合計でも2.6mGy程度で検査が可能です。
【問い合わせ先】
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