巻頭言 / 座長の言葉
2018-11-22
MODERATOR
今井 裕
(東海大学医学部
専門診療学系
画像診断学教授)
巻頭言
本シンポジウムは今回,記念すべき第10回目を迎えた。2009年にSOMATOM Definitionシリーズをテーマとした「Definition Symposium」としてスタートし,その後,高性能新機種の登場を受けて,2014年からは名称を「SOMATOM Symposium」に変更して今回に至っている。
この10年間のCTの進歩には目をみはるものがある。なかでもシーメンスヘルスケアのCTは,単純に検出器を多列化するだけでなく,2つのX線管を搭載したDual Source CTを開発し,さらにその能力を駆使したDual Energy Imagingという新しい概念を開拓した。私が最も評価するのは,単純にCTの機能を開発し性能の向上を図るだけでなく,他の画像診断モダリティや治療の領域との連携を真剣に考えて開発している点である。
今回のシンポジウムでも,医療はもとより,あらゆる分野で話題となっている人工知能(AI)の活用をテーマに取り上げているほか,Interventional Radiology(IVR)や口腔外科手術,放射線治療とCTとの連携をはじめ,経皮的冠動脈形成術(PCI)の適正使用や構造的心疾患(SHD)に対するDual Source CTの活用法,救急や皮膚科の領域に対するDual Energy Imagingのアプローチ,そして,SOMATOM CTの最新技術の開発に至るまで,幅広い話題が取り上げられている。
CTの活用について,明日からの診療に結びつく内容が学べるとともに,CTの未来の構想も含めて,画像診断のこれからの方向性を描けるシンポジウムになっているのではないかと考える。画像診断の将来について,皆さまと共に考察を深めていく機会となることを願っている。
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座長の言葉
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Session Ⅰ Innovative Trends in CT 本セッションでは,シーメンスヘルスケアにおける人工知能(AI)を活用した技術開発の現状と最新動向についてご紹介いただきます。放射線を用いた診断や治療にAIを用いることには多くの利点があります。AIがもたらす恩恵の一つにポストプロセッシングがありますが,AIの優れた計算力によって,従来のアトラスに基づくポストプロセッシングよりも飛躍的に高い精度が得られます。また,AI技術を活用したスキャニングや装置の改善のための技術開発が現在,世界中で進行しています。AIは,人間のミスを減らすとともに,放射線科医や診療放射線科技師を補助する大きな役割を担っています。講演ではAIに基づく技術開発の一端が紹介されますが,いずれも大変すばらしく,夢のような科学の未来を実感できる内容です。 |
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Session Ⅱ Maximize the Synergy of CT-related Systems 本セッションでは,治療分野におけるCTの活用をテーマに,IVR,外科手術,放射線治療の領域から,治療の精度向上や治療成績の改善,安全性の担保などを目的に実臨床で用いられている最新CT技術についてご報告いただきます。最初の演題では,質の高いIVRを行うために有用なIVR-CTによるアシストについて,2演題目は,難治性の口腔がんの治療におけるCT lymphographyを用いたセンチネルリンパ節マッピングの意義と,実際の手技について,3演題目は,治療計画用CT装置の進歩として,放射線治療に大きなインパクトを与えた2つの最新技術について,それぞれご報告していただきます。いずれも今後の進歩にさらに期待できる技術であり,演者の先生方にはこれからも情報発信を続けていただきたいと思います。 |
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Session Ⅲ Robust Performance of Dual Source CT for Cardiac Imaging 今から10年前の2008年に発表されたCOURAGE trialは,経皮的冠動脈形成術(PCI)は安定冠動脈疾患の予後を改善しないと報告し,当時の循環器内科医に衝撃を与えました。本報告を受けて,従来のPCIの適切性が検証され,策定されたのが,PCI適応の適切性基準“Appropriate Use Criteria”です。本セッションではまず,CTイメージングによるPCIの適切性の評価についてご発表いただきます。また,循環器領域の代表的な手技として,PCI,アブレーション,経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)がありますが,これらのうちTAVIの適応として代表されるのがstructural heart disease(SHD)です。SHDの術前評価にCTはきわめて有効とされますが,十分に活用されているとは言えないのが現状です。そこで,2演題目では,TAVIをはじめとするSHDの術前・術後評価におけるCTの活用について,実際の使用法などをご報告いただきます。 |
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Session Ⅳ
Session Ⅴ |