巻頭言
MODERATOR
内藤博昭 公益財団法人 日本生命済生会付属日生病院 特任顧問
2016-11-25
シーメンスは,医療機器メーカーが作った最初のCT装置である頭部専用CT「SIRETOM」を1975年に開発した。私が医師になったのも1975年であり,今に至る40年間,シーメンスのCT装置の進化とともに歩んできたと言える。
X線CT装置の発展の歴史を振り返ると,まず1990年前後に連続回転型CT装置が登場し,ここからスパイラル(ヘリカル)スキャン,高速ボリウムスキャンが始まった。続いて,2000年頃からディテクタの多列化とカバレージの大きなマルチスライス型CT装置が登場し,この2つの技術が融合してごく短時間できわめて高分解能なボリウムデータの取得が可能になった。一方,X線CT装置を心臓に応用するにはシャッター速度の短縮が必要だったため,100ms以下の時間分解能を有する直接撮影が可能な装置の開発が待望された。シーメンスは2005年,Dual Source CT「SOMATOM Definition」によって,通常のCT装置の直接撮影では初めて100ms以下の時間分解能を達成した。このインパクトは非常に大きく,現在でもシーメンスのDual Source CTが時間分解能の高さにおいて他の追随を許さない。
また,Dual Source CTでは,2管球同時曝射で散乱線の影響を除去した画像が得られるが,これは驚異の新技術と言える。さらに,Dual Energy CTやLow Energy Imagingの先鞭をつけたのも,シーメンスのDual Source CTである。今では,各社がさまざまなMulti Energy解析の手法を開発しているが,これらの領域でもシーメンスのDual Source CTはトップを走り続けている。
本シンポジウムは,シーメンスのX線CT装置に関する最新の情報を提供するものであるが,なかでも今回は,エネルギー弁別における新たな可能性としてPhoton Counting CTの技術についても報告される。参加者の皆さまにとって,有益な情報との出会いがあることを期待している。
【座長紹介】
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