技術解説(フィリップス・ジャパン)
2019年6月号
US Today 2019 超音波検査・診断最前線
フィリップス超音波技術開発の最前線
保田 綾子[(株)フィリップス・ジャパン超音波診断装置ビジネスマーケティンググループ]
2019年2月,フィリップスはユニバーサル・プレミアム超音波診断装置「EPIQ Elite」をリリースした(図1)。EPIQ Eliteは,腹部,心臓,表在,血管など,さまざまな臨床領域に対応したプレミアムクラスの超音波診断装置である。あらゆる領域で最高の画質を提供するため,24インチのHD MAXディスプレイを採用。アメリカ放射線医学会(ACR)の推奨するモニタ輝度(350cd/m2以上)を満たし,10bitの色深度で広色域の表現が可能である。
■エラストグラフィの最新技術:ElastQ
フィリップスのエラストグラフィ機能“ElastPQ/ElastQ”は,2018年10月より保険適用となった。ElastQイメージングの特長は,大きなROI(最大5cm×6cm),優れた透過性(単結晶プローブおよび“nSIGHT”技術),データの安定性(データの信頼度を表すConfidence Map)である。世界超音波医学学術連合(WFUMB)の2018年ガイドラインにも,「測定精度を評価できるパラメータを用いた場合,3〜5回の測定が適当である」と新たな記載が追加された。Confidence Map(図2 a)のような精度を評価できるパラメータが同時に参照できることで,安定したデータを再現性良く計測することが可能になる。
■フュージョンイメージングの最新技術:PercuNav
超音波画像とCT画像を融合し,リアルタイム表示する技術が開発されて15年以上経つが,いまだに位置合わせの精度や操作の煩雑性の問題が改善されていない。フィリップスのフュージョン技術“PercuNav”は,従来の二次元情報での手動位置合わせではなく,三次元での位置合わせを自動で行うため,ズレの少ない正確な同期画像が1分以内という短時間で得られる。三次元で合わせるため,位置合わせした場所から遠い場所にある病変であってもズレが生じにくい。これにより,治療中の検者と患者へのストレスを減らし,正確な手技をサポートする。
■乳房エコーの最新技術:AI Breast
“AI Breast”は,マットレスに内蔵された磁場発生装置でプローブの位置を自動検出し,画像データと一緒に保存する機能である(図3)。従来,手動で合わせる必要のあったプローブマークが追従するため,より正確なプローブ位置を自動で残すことができる。また,スキャンした軌跡が表示・保存されるので,データの客観性が向上し,スキャン技術の向上にもつながる。さらに,ワンボタンで病変の乳頭からの方向と距離を計測し表示することも可能であり,術前化学療法後の病巣部位の同定などに活躍が期待される。
■心エコーの最新技術:AutoSTRAIN 4.0
ストレイン解析に関する長い歴史と実績を持つTomTec社の技術に,フィリップスのAnatomical Intelligence技術を掛け合わせることで,global longitudinal strain(GLS)の問題点であった解析時間,データのバラツキ,再現性が改善され,ルーチン検査でのGLS計測を実現した。ルーチンエコー検査で簡便かつ迅速に計測を行うため,AutoSTRAIN 4.0は自動断面認識機能(成功率99%),自動輪郭検出機能,高速スペックルトラッキング機能を搭載している。今後,がん治療関連心不全(CTRCD)患者の心筋障害の検出,心機能モニタリング,治療計画に役立つツールとして期待される。
◎
フィリップスは,超音波診断装置による低侵襲な検査・診断の普及に貢献するため,日々のルーチン検査の質・量共に高めるための先進的なソリューションを提供し続けることを約束する。
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