技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2017年6月号

MRI検査のリスクマネージメント

“SILENT SCAN”update

GEの静音化技術である“SILENT SCAN”は,これまでに小児検査への有用性が報告されており1),ZeroTE MRAという特長を生かしたステント併用コイル塞栓術後の血管評価にも用いられている2)。そして,2017年にリリースされた最新プラットフォーム“SIGNA Works(ソフトウェアバージョン26)”には“Silenz2.0”や“PROPELLER MB(Multi shot Blade)”が搭載されており,従来のSILENT SCANから画質や機能性が向上している。

■Silenz2.0

3Dラジアルサンプリング法をベースとした専用ソフトウェア“Silenz”を用いるSilent T1強調画像やZeroTE MRAは,これまで直交矢状断,もしくは直交冠状断での断面設定であり,等方性ボクセル収集かつ立方体での撮像範囲設定という制限があった。Silenz2.0では,軸位断面の設定が可能になり,頭部撮像時の基準角度に合わせたオブリーク設定にも対応している(ZeroTE MRAは直交軸位断のみ対応)。また,非等方性ボクセル収集が可能になり,面内分解能やスライス分解能を調整することにより,撮像時間短縮や分解能向上といった撮像条件設定の自由度が向上している(図1a)。

■PROPELLER MB

T2強調画像やFLAIRの静音化技術は,2Dラジアルサンプリング法の体動補正シーケンスであるPROPELLER法をベースとしている。このPROPELLER法に“Acoustic Reduction Technology(ART)”を併用することで,全身対応の体動補正かつ静音化シーケンスを実現している。SIGNA Worksでは,PROPELLER MBに進化し,ブレード内をショット分割することで少ないecho train length(ETL)や短いTEが設定可能となり,通常の高速スピンエコー法と同様の撮像条件で,T1強調画像が撮像可能となった(図1b)。このPROPELLER MBのシーケンスにもARTが併用できるため,環境音+6dB以下の騒音レベルで各種コントラストが取得可能となった。

*実測値に基づく。

図1 SIGNA Worksで新たに可能となった静音化技術

図1 SIGNA Worksで新たに可能となった静音化技術

 

●参考文献
1)Matsuo-Hagiyama, C., et al. : Comparison of Silent and Conventional MR Imaging for the Evaluation of Myelination in Children. Magn. Reson. Med. Sci., 2016(Epub ahead of print).
2)Takano, N., Suzuki, M. Irie, R., et al. : Usefulness of Non-Contrast-Enhanced MR Angiography Using a Silent Scan for Follow-Up after Y-Configuration Stent-Assisted Coil Embolization for Basilar Tip Aneurysms. Am. J. Neuroradiol., 38・3, 577〜581, 2017.

 

【問い合わせ先】
MR営業推進部
TEL 0120-202-021
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