技術解説(富士フイルム)
2023年1月号
被ばく線量管理システムガイド
線量管理システムの特徴と最新機能「SYNAPSE DS」×「DOSE MANAGER」
中野 伸哉[富士フイルムメディカル(株)ITソリューション事業部]
医療法施行規則の一部改正に伴う線量記録の義務化から2年が経過した。装置ごとの線量の記録・管理が求められる一方で,検査種や装置ごとに求められる情報が異なり,一元管理する上での課題となっている。当社では,PACS「SYNAPSE」の線量管理オプションソフトウエアである「SYNAPSE DS」と,キュアホープ社が開発した大規模施設向けの被ばく線量管理システム「DOSE MANAGER」を販売している。本稿では,それぞれのシステム概要と特徴について紹介する。
■SYNAPSE DSの特徴
1.シンプルで機能的な設計
SYNAPSE DSは,シンプルで機能的な線量管理システムをコンセプトに開発された製品であり,装置から出力されたRadiation Dose Structured Report(RDSR)や各モダリティの被ばく線量の値であるDose Reportから取り込んだ線量情報を一元管理するシステムとなっている(図1)。最大の特徴は,SYNAPSE導入施設*1では専用サーバが不要であり,低コストで運用開始できるという点で,SYNAPSE共通のワークリストである「Smart Worklist」上から線量入力が可能となっている。
2.統計機能
統計についても箱ひげ図と散布図に対応しており,部位や年齢といった条件をプリセットとして保存することで,簡便にデータの比較が可能である。また,グラフの作成と同時に,抽出したデータのIDや検査日などをまとめたデータベースと帳票のテンプレートも出力されるため,検査内容,患者情報なども容易に確認できる仕様となっている。さらに,検査画像についても登録画面からワンクリックで閲覧でき,症例ごとの検査方法や撮影範囲を考慮した線量管理にも対応している。
3.コメント入力機能
線量入力画面にはコメント入力とタグの登録機能があり,特殊な検査や再撮影を行った検査にタグ付けすることで,ワークリスト上でも確認可能となり,データを再確認する際や医療従事者同士での情報共有にも便利な機能を搭載している。
■SYNAPSE DSの最新機能
施設内での線量情報を共有したいというニーズに応えるため,Web連携機能を実装した。これにより,RISや電子カルテから検査履歴と線量のサマリを呼び出すことで,施設内でのスムーズな線量情報の共有が可能となった。また,当社のRISである「SYNAPSE Workflow Manager」との連携機能を実装することで,RISとのオーダ情報連携も可能となった*2。
■DOSE MANAGERの特徴
1.照射線量情報の自動収集
DOSE MANAGERは,院内すべてのX線管球搭載モダリティの線量情報を管理対象とすることを想定し,それぞれに仕様が異なる照射線量情報をPACS,RIS,モダリティなど,さまざまな情報ソースから取得可能な設計となっている。
取得するデータはRDSRを中心としているが,現状でRDSRに対応していない装置も多いことから,Modality Performed Procedure Step(MPPS)による検査実施情報の取得なども重要な要素となる。本システムでは,RISとの接続により,MPPSからの情報取得にも柔軟に対応することが可能である。
2.被ばく線量情報の活用
DOSE MANAGERサーバは,Webブラウザからのリクエストを受信し,「Dose History View」や「Dose Report View」などの画面情報を構成し,返信する機能も有している。これらを用いることで簡単に患者被ばく線量の確認・理解ができ,院内共有やインフォームド・コンセントなどにも利用することができる。
■DOSE MANAGERの最新機能
DOSE MANAGERでは,新機能としてRI検査における実効線量および臓器線量の算出機能を実装した。これによりRI検査についても投与量の管理だけでなく,被ばく線量の管理が可能となった。
◎
診療用放射線に係る安全管理体制の運用開始に伴い,日本における線量管理の体制が大きく変化している。富士フイルムメディカルは,今後もシステム環境に合わせた柔軟なサービスの提供をめざし,開発を進めていく。
*1 SYNAPSEバージョン,導入時期の構成により,導入ができない場合があります。詳細は弊社営業までお問合せ下さい。
*2 SYNAPSE DSのRIS連携は弊社RISのみ対応の有償オプションです。
【問い合わせ先】
営業本部マーケティング部
TEL 03-6419-8033
URL https://www.fujifilm.com/fms/