技術解説(富士フイルムメディカル)

2024年3月号

腹部領域におけるUS技術の最前線

腹部領域における超音波診断装置「ARIETTA 750 DeepInsight」の高画質化技術とアプリケーション

三戸森祥子[富士フイルムヘルスケア(株)超音波診断事業部国際営業部マーケットサポートグループ]

「ARIETTA 750 DeepInsight」は,2023年4月に発売された,DeepInsightシリーズのハイエンドモデルである。プレミアムクラスの装置で実現した高画質化技術を搭載し,豊富なアプリケーションとプローブラインアップにより,腹部領域において診断から治療まで幅広くサポートする。

■高画質化技術

ARIETTA 750 DeepInsightは,3つの高画質化技術により,腹部領域において高分解能を保ちながら深部までの均一性が良く,被検者依存性の少ない安定した画像を実現した。

1.DeepInsight技術

DeepInsight技術は,AI技術*1を活用したノイズ除去技術である。超音波信号と電気ノイズを区別し,電気ノイズに埋もれていた深部の微細な組織や複雑な組織構造をより明瞭に表現することが可能となる。

2.eFocusing PLUS

eFocusing PLUS」は,1回の送信に対し複数の受信ビームを取得・合成し,1枚の画像に加算してリアルタイムに表示する送受信技術「eFocusing」をさらに進化させ,フォーカス依存を低減しながら深部感度,空間分解能のさらなる向上を実現した。

3.Carving Imaging

「Carving Imaging」は,組織構造の視認性を向上させる技術である。ノイズを除去し,組織構造を抽出する処理を行った中間画像を原画像と合わせることで,「見やすい」画像を実現する。

■iATT(超音波減衰計測機能)

近年,脂肪肝を背景とした肝硬変が増加しており,非侵襲的で簡便な肝脂肪化の評価法が注目されている。ARIETTA 750 DeepInsightは,生体内で減衰する信号振幅を基に減衰量を求める機能で
ある「iATT」を搭載している。iATTは,肝組織の硬さを評価する「Shear Wave Measurement(SWM)」の計測と同時に実施され,併せて線維化と脂肪化を一度で簡便に評価できる(図1)。

図1 iATTの表示画面と計測項目

図1 iATTの表示画面と計測項目

 

■マイクロコンベックスプローブ 「C23RV/C23」

ARIETTA 750 DeepInsightは画質と操作性を追究したマイクロコンベックスプローブC23RV/C23を接続可能である(図2)。圧電単結晶の採用による広帯域化と放熱構造の見直しにより,従来の課題であった深部感度と空間分解能が向上し,標準的なコンベックスプローブと遜色ない高画質を実現した。C23RVは「Real-time Virtual Sonography(RVS)」内蔵センサに対応しており,治療用途だけでなく,日常検査にも広く貢献できるプローブである。

図2 マイクロコンベックスプローブC23RV/C23

図2 マイクロコンベックスプローブC23RV/C23

 

ARIETTA 750 DeepInsightは,高画質化技術やアプリケーションなどにより詳細な診断情報を提供し,検査の質の向上や検査者負担の軽減に貢献していく。

*1 AI技術の一つである機械学習を用いて開発・設計したものです。実装後に自動的に装置の性能・精度は変化することはありません。

*ARIETTA,DeepInsight,eFocusing,Carving Imaging,Real-time Virtual Sonographyは,富士フイルムヘルスケア株式会社の登録商標です。
*ARIETTA 750は,ARIETTA 750 DeepInsight と呼称します。

販売名:超音波診断装置 ARIETTA 750
医療機器認証番号:第301ABBZX00007000号
販売名:C23RV プローブ/C23 プローブ
医療機器認証番号:第301ABBZX00055000号

 

【問い合わせ先】
https://www.fujifilm.com/fms/

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