技術解説(富士フイルムメディカル)

2017年6月号

MRI検査のリスクマネージメント

日立「ECHELON OVAL」に搭載した静音化技術“SoftSound Suite”

日立の1.5T超電導MRIシステム「ECHELON OVAL」(図1)は,楕円型のワイドボアによるやさしいMRI検査環境をコンセプトとしており,診断に最も重要な高画質を実現しながら,新たに開発した静音化技術“SoftSound Suite”を搭載している。さらに,この静音化技術は,画質および撮像時間に影響の少ないことが特長である。

図1 ECHELON OVAL外観

図1 ECHELON OVAL外観

 

MRI検査で大きな音が出る原因は,傾斜磁場コイルに電流を流すことで電流と磁場の間に働く電磁力によって,傾斜磁場コイルが振動するためである。日立独自の静音化技術SoftSound Suiteは,傾斜磁場パルスの形状を最適化し,撮像パラメータの調整をすることで,撮像時間,コントラスト,画像SNR,空間分解能をほぼ変更しない条件で撮像音を最大で90%程度低減する。これは,図2に示すように,傾斜磁場波形は印加電流と印加時間の積で与えられ,この波形で撮像音の周波数特性が変化するため,ヒトの聴感が周波数によって感度が異なることを利用し,騒音シミュレーションを活用することで低騒音波形の最適化を行って実現される。この技術は,MR撮像で重要であるT1強調画像,T2強調画像やMRA画像などの主なルーチン検査で利用することができる。

図2 傾斜磁場パルス形状と周波数成分

図2 傾斜磁場パルス形状と周波数成分

 

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