技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)
2022年8月号
Breast Imaging最新技術
進化をつづける「Pe・ru・ru」の画質 ~画像処理パラメータ“Charmer(シャルメ)”~
キヤノンメディカルシステムズ株式会社のマンモグラフィ装置「Pe・ru・ru」は,撮影装置の根幹である画質において最新のトレンドを求めて研究を続けており,このたび新画像処理パラメータ“Charmer(シャルメ)”*が誕生した。
●Charmer誕生の背景
デジタルマンモグラフィ装置と高精細モニタは,従来の高輝度シャウカステンを使用したフィルム読影の置き換えとして登場した。しかし,高精細モニタによるソフトコピー診断は,アナログフィルムと高輝度シャウカステンが作り出す高いコントラストの画像に対し,モニタ輝度が限られているためコントラストの表現力が不足している。Pe・ru・ruは販売当初,フィルムライクな画質を基本としていたため,ソフトコピー診断においては初期表示のコントラストがやや弱かった。そこで,時代とともに変化した読影環境に合わせ,ソフトコピー診断においても初期表示で高いコントラストを実現する画像処理パラメータCharmerを開発した。
●Pe・ru・ruの画像処理
Pe・ru・ruには,オートウインドウに加え,“f-Proc”と“DCF”という特徴的な画像処理を搭載している。オートウインドウは,ウインドウ調整を自動で行うことで,適切な明るさとコントラストを表示する機能である。f-Procは,複数の周波数帯域を強調する周波数処理の機能であり,乳腺構造や石灰化の形状にメリハリを与える。DCFはダイナミックレンジ圧縮の機能であり,乳腺内のコントラストは保ったまま高線量域の黒つぶれや低線量域の白つぶれに対して,見やすく補正する。
●ソフトコピー診断に最適な画像処理パラメータCharmer
Charmerは,乳腺内コントラストの向上を第一のコンセプトとし,従来の画像処理パラメータの設定を一新した。オートウインドウはWWの決め方を変更し,より乳腺内のなめらかな階調を表現。f-Procは帯域を見直し,高周波強調を強めることで鮮鋭性を向上した。また,乳房厚に合わせて処理の強さを変更することで粒状性を抑えている。DCFは圧縮強度を強めることで,乳腺外の構造の視認性をより向上した。これらすべてのパラメータの最適化により,初期表示のコントラストが向上し,従来は苦手としていた高濃度乳房においても淡い石灰化などの視認性が向上した。乳腺内・乳腺外コントラスト,さらに,鮮鋭性の向上により,Charmerはモニタ診断における読影環境に適した画質を提供する。
*Charmerの由来:フランス語で“魅了する”との意味。新しい画像処理で,長年愛され続けているPe・ru・ruをさらに輝かせたいという思いが込められている。
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