技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2018年6月号

US Today 2018 超音波検査・診断最前線

「Aplio iシリーズ」および「Vitrea」のfusion imaging技術

小林 豊(キヤノンメディカルシステムズ(株)超音波開発部システム開発担当)

最新機種の「Aplio iシリーズ」に搭載された“Smart Fusion”技術では,位置を同期させたCT/MRIのリファレンス画像とともに心エコー画像を表示することで,観察している断面や部位の同定が容易となる1)。特に,複雑な形態の症例や,音響窓が制限されてエコーで描出しにくい部位を有する症例では有用である。
今回は,Smart Fusionに新たに追加された“ドプラモード同時表示機能”と,ワークステーション用のfusion imaging機能“US Cardiac Fusion”について紹介する。
図1は,CT画像上で抽出された冠動脈部位を,Smart Fusionによりエコー画像上で容易に特定し,ドプラモードで血流評価した例である。

図1 冠動脈ドプラ検査をCT画像でガイドした例 (データご提供:岡山大学・高谷陽一先生)

図1 冠動脈ドプラ検査をCT画像でガイドした例
(データご提供:岡山大学・高谷陽一先生)

 

一方,Aplioのデータをオフライン解析するワークステーション「Vitrea」では,CTによる冠動脈形態情報とエコーの3D壁運動解析アプリケーション(以下,3D WMT)による壁運動情報をフュージョン表示する診断支援ツールとして,US Cardiac Fusionを搭載している(図2)。US Cardiac Fusionは,CTと心エコーの双方で左室長軸と短軸を算出し,それらを一致させることで自動位置合わせを実現している。CTが仰臥位で得られるのに対して,心エコーは左側臥位で得ることによるズレが発生する場合があり,手動で位置を調整することも可能である。

図2 Vitrea ワークステーション

図2 Vitrea ワークステーション

 

US Cardiac Fusionでは,CTとエコーの3DやMPR によるフュージョン表示だけでなく,3D WMTによるpolar mapや各セグメントのtime curve analysis(TCA)が同時に表示され(図3),CT冠動脈解析アプリケーションによる狭窄解析情報の表示(図4)も可能であり,さまざまな機能の解析結果を同時に提供している。また,画像上にランドマークを配置することで,異なるモダリティ画像間での位置関係を把握しやすくなっている(図4)。

図3 US Cardiac Fusionの壁運動情報表示例 (データご提供:岡山大学・高谷陽一先生)

図3 US Cardiac Fusionの壁運動情報表示例
(データご提供:岡山大学・高谷陽一先生)

 

図4 US Cardiac Fusionの狭窄解析情報とランドマーク表示例 (データご提供:岡山大学・高谷陽一先生)

図4 US Cardiac Fusionの狭窄解析情報とランドマーク表示例
(データご提供:岡山大学・高谷陽一先生)

 

*「Aplio」は,キヤノンメディカルシステムズ(株)の商標である。

●参考文献
1)阿部康彦 : Aplio iシリーズの循環器アプリによる診断と治療への貢献. 映像情報メディカル, 50・3, 64〜72, 2018.

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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