技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)
2015年8月号
Women's Imaging 2015 最新技術[Breast Imaging]
乳房MRIに対する東芝のアプローチ技術
近年,注目を集める乳房MRIに対する東芝のアプローチ技術の成果を紹介します。
●ブレスト・インプラントのスクリーニング検査を簡便化する“PASTA-Si”
2013年,乳がんにより乳房切除となった患者が乳房再建に使用する場合,インプラントが保険適用となり,定期的にインプラントの破裂や漏れを観察可能な画像検査が望まれています。
シリコンインプラント検査用の撮像シーケンスPASTA-Siは,シリコン成分を高信号に描出することができます。そのため,インプラントの内容成分がシリコンか生理食塩水かの識別,さらにはシリコンの漏れの有無を正確に確認可能です(図1)。従来,シリコン成分を高信号で描出したい場合は,手動で中心周波数をシリコンの周波数に合わせる必要がありました。しかし,脂肪の周波数も近傍にあり,設定を誤ると脂肪抑制不良やシリコン成分が高信号に描出されないといった問題が生じていました。PASTA-Siが有用な点は,シリコンの周波数を自動で認識することです。これにより,手動による中心周波数の再設定が不要で,確実にシリコンインプラントを高信号化することを可能とします。
●BPEの鑑別補助“Time-SLIP”“Quick 3D’s+DRKS”
2014年,ACRよりBI-RADS 2013が発行され,MRI改訂版では乳腺組織の増強効果を反映する用語「Back Parenchymal Enhancement(BPE)」が採用されました。東芝には,BPE の鑑別補助として2つのアプローチ技術があります。
Time-SLIP法は,非造影にて乳がんを描出する手法です。 BPEが問題となり腫瘍と正常乳腺組織の領域が不明瞭な際に有用であり,造影時BPEがmarkedの場合(正常乳腺の染まりが強い),非造影にて腫瘍の一部に濃染を確認可能です。
Quick 3D’s+DRKSは,空間分解能を維持しながら時間分解能向上を可能にします。従来の早期相60sより早い超早期相30sを取得することにより,背景乳腺の染まりが少ない状態を確認することができます。
●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/