キヤノンメディカルシステムズが提供するAIソリューションブランド 「Altivity」のご紹介
長村 晶生(キヤノンメディカルシステムズ株式会社 国内営業本部 クリニカル営業推進部)
技術講演
2023-6-26
本講演では,キヤノンメディカルシステムズが提供する人工知能(AI)ソリューションブランド「Altivity」について紹介する。
Collaborative imagingを推進するAltivity
昨今の医療現場においては,医療費の増加,人的資源の不足,働き方改革,患者の求める医療の高度化,個別化医療の推進などさまざまな課題があり,質の高い患者アウトカムをより低コストで実現することが求められている。それらの課題の解決をめざし,キヤノンメディカルシステムズは,これまで多くの革新的な製品を開発してきた。また,臨床現場での医療従事者とのコラボレーションによって多くの臨床的価値が生み出され,現在まで国内外のさまざまな場面で活用されている。
さらに,われわれは,先進のマルチモダリティシステムと,それらの効果を最大化するための効果的なアプリケーションを組み合わせ,最適なソリューションを提供する“Collaborative imaging”をさらに高い段階へ推し進め,医療従事者・患者にとって有益なソリューションを提供するためにAIを活用したいと考えている。それを達成するためのAIソリューションブランドがAltivityである(図1)。Altivityのもとに結集したAI技術によって,医療データの高品質化,オペレーションの最適化をさらに進化させ,患者一人ひとりに質の高い最適な医療を提供するとともに,医療の現場においては臨床の価値,運用の価値,経営の価値という3つの価値を提供したいと考えている。
医療従事者に対しては,高画質・高精度な医療データを提供し,それらのデータの統合・管理・分析を支援することにより,迅速な意思決定を支援することをめざ
している。患者に対しては,shared decision makingの実現を支援することで,納得感,安心感をもって医療を受けていただきたいと考えている。さらに,リソース配置の最適化,オペレーションの効率化により,スムーズなワークフローを支援することで,臨床現場の運営をサポートし,ひいては経営的観点からも貢献することで,最終的にはすべての人に質の高い医療の提供の実現をめざす。
これらの目標の達成に向け,われわれは開発拠点をグローバルに展開しており,世界中の医療機関とのコラボレーションを加速することで,AI技術の開発を促進している。その一例として,MRIにおけるDeep Learning Reconstruction(DLR)の開発においては,熊本大学病院およびフランス・ボルドー大学病院との共同研究を行っている。このようにして開発されたAIソリューションは,真に医療現場に貢献できるものでありたいと考えている。
Altivityの開発の現状
AltivityにおけるAI技術の開発は,大きく3つのフェーズに分けて計画している。
フェーズ1として,2018年に高分解能CT「Aquilion Precision」においてAIを応用したSNR向上技術である「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」を発表して以降,CTにおいては320列から80列クラスの装置にもAiCEの適用を拡大させ,現在では多くの施設で活用いただいている。さらに,AiCEは,2019年にMRI,2021年にPET-CTへと展開し,MRIにおいては現在,すべてのクラスの装置でAiCEを適用したDLR-MRIの提供が可能となっている。
画像解析やワークフローの改善においても,超音波診断装置における自動計測や,脳神経領域の診断支援アプリケーションである「Abierto Reading Support Solution(Abierto RSS)」の提供など,Healthcare IT領域への融合を進めている。2022年には新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎の診断支援ソフトウエアである「COVID-19 Analysis」を発表した。
また,2021年末には,CTにおいてDeep Learningを応用した超解像画像再構成技術である「Precise IQ Engine(PIQE)」を発表し,2023年にはMRIへの適用も予定している。PIQEによって,MRIの画質と撮像時間におけるトレードオフを解消し,より高解像度のMR画像の提供が可能となり(図2),臨床現場でのさらなる活用が期待される。
Altivity開発のロードマップにおける今後の展開
われわれは,画質改善を軸にAIの活用を開始し,現在では多くのモダリティでAiCEやPIQEをはじめとするAI技術の提供が可能となっている。Precision Medicineという大きなゴールの達成に向け,フェーズ2以降では,バイオ技術といった体外診断事業へのAIソリューションの展開を進め,さらには,画像と融合したradiogenomicsへの展開や,それらによって発生する膨大なデータの統合管理・集約・分析を行うHealthcare IT領域の強化を図ることで,フェーズ3以降へと進んでいくことを計画している。
われわれはこれからも,医療従事者とのコラボレーションを大事にしながら,真に医療現場に貢献できるAIソリューションの提供を進めていきたい。
*AI技術は設計段階で用いており,自己学習機能を有しません。
一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム
販売名:汎用画像診断ワークステーション用プログラム Abierto SCAI-1AP
認証番号:302ABBZX00004000
一般的名称:全身用X線CT診断装置
販売名:CTスキャナ Aquilion Precision TSX-304A
認証番号:228ACBZX00019000
一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム
販売名:汎用画像診断ワークステーション用プログラム RapideyeCore SVAS-01
認証番号:229ABBZX00002000
一般的名称:X線画像診断装置ワークステーション用プログラム
販売名:COVID-19肺炎解析ソフトウェア SCO-PA01
承認番号:30400BZX00123000