CT事業40周年の歩みと今後の発展に向けて 
瀧口登志夫(東芝メディカルシステムズ株式会社)

2015-12-25


瀧口登志夫(東芝メディカルシステムズ株式会社代表取締役社長)

日本のCTの歴史とともに40年

1975年8月26日,東京女子医科大学において国内初のCT検査が行われました。この時初めて英国・EMI社からCTを輸入したことで始まった東芝のCT事業は,2015年で40周年を迎えます(図1)。
その後,1978年に国産化に成功し,同年,国内初の全身用CTである「TCT-60A」を開発しました。1986年にはヘリカルスキャンの特許を取得し,1998年には1回転0.5秒スキャンを実現したマルチスライスCT「Aquilion」を開発。そして,2007年に,世界初の320列エリアディテクターを搭載した「Aquilion ONE」として結実しました。これらのCTの開発は,われわれだけで成し遂げたものではなく,直接的な研究,開発のみならず,日常診療の中で多くの叱咤激励をいただいた全国のユーザーの皆さまのご支援の賜物であり,改めて感謝申し上げます。
本シンポジウムは今回で5回目を迎えますが,これまで次世代CTであるAquilion ONEの最新技術や医療被ばく低減のための取り組みとその進捗状況を報告してきました。今回もそのテーマを軸として,最新の臨床現場からの報告をお届けします。

図1 東芝X線CT装置の歩み(1975〜2015年)

図1 東芝X線CT装置の歩み(1975〜2015年)

 

Aquilion ONEの普及とAIDR 3D標準搭載の成果

Aquilion ONEは,2007年の発売以来,2015年7月現在で国内318台が稼働,全世界では1000台を超える販売台数となっています。また,現行の全CT装置に標準搭載している逐次近似を応用した被ばく低減技術であるAIDR 3Dは,2920台(2015年7月現在)に導入されており,これは国内で稼働する全CT装置の4台に1台に相当します。低線量撮影技術が確実に広がりつつあり,これからもわれわれは日本の被ばく低減に取り組んでいく所存です。

低線量撮影に対する新たな2つの取り組み

さらに,東芝では,低線量撮影を可能にする2つの新しい技術の標準化を進めていきます。
1つは,“pureViSION Detector”です。検出器素材の最適化や高精細検出器製造技術の採用により従来比1.4倍の高感度を実現し,一層の被ばく低減と画質向上の両立を実現しました。もう1つは,“AIDR 3D Enhanced”です。従来のAIDR 3DにNPSモデルを搭載することで,低線量撮影時の画質をより鮮明に描出できるよう進化させました。
これら2つの新しい技術を,東芝CTのラインナップ(Aquilion ONE,Aquilion PRIME,Aquilion Lightning)に標準搭載することで,今後も日本の医療被ばくの低減に努めてまいります(図2)。

図2 被ばく低減技術の標準搭載機種の拡大

図2 被ばく低減技術の標準搭載機種の拡大

 

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東芝メディカルシステムズの経営理念である“Made for Life〜患者さんのために,あなたのために,そしてともに歩むために”というスローガンを実現し,かけがえのない命とユーザーの皆さまの成長,成功に役立つことができるよう,一層の努力を続けていくことをお約束いたします。


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