ヘルスケア事業の統合と新たな展開
瀧口登志夫(東芝メディカルシステムズ株式会社代表取締役社長)

2014-10-24


瀧口登志夫(東芝メディカルシステムズ株式会社代表取締役社長)

CTにおける最先端の技術情報ならびに臨床情報を提供するGlobal Standard CT Symposiumは今回で4回目になります。東芝は2013年11月,CTの出荷累計台数3万台を達成しました。1975年,東芝メディカルシステムズの前身である東芝メディカルが国内CT1号機を発売して以来,さまざまな技術革新を経て今日に至りました。ただいま現在も,たゆみない研究・開発を続けております。
本シンポジウムはこれまで, 320列ADCT「Aquilion ONE」の最新技術と,東芝が追究する医療被ばく低減技術という2つのテーマを中心に情報提供を行ってまいりました。今回もこれら2つのテーマを軸に,技術開発と臨床応用の現状をご報告いたします。

現行販売機種へのAIDR 3D搭載とその成果

東芝は,すべての現行販売機種にAIDR 3Dを標準搭載することを進め,2014年8月現在,2200台を超える国内稼働CTにAIDR 3Dを搭載しました。これは,日本全体で稼働するCT台数の1/6以上に相当しますが,これからも引き続きAIDR 3Dの普及に努めます。
前回2013年の本シンポジウムにおいて,当時国内で稼働しているAIDR 3Dを搭載可能な145台すべてにインストールが完了したことをご報告しました。その後,それら145施設における被ばく低減の実際について調査したところ,おおむね30%程度の被ばく低減が実現できていることが確認されました(図1)。日本の医療被ばくの半減をめざして,今後もさらなる技術革新と普及に努めます。

図1 既存適応機種145台へのAIDR 3Dインストール後の線量低減状況

図1 既存適応機種145台へのAIDR 3Dインストール後の線量低減状況

 

次世代の逐次近似再構成技術「Full IR」の研究開発

東芝では,新しい次世代の被ばく低減技術として,Aquilion ONEに搭載することを前提にした逐次近似再構成技術「Full IR」の開発を進めています。臨床で使用可能になれば,超低線量撮影によりさらなる医療被ばく低減への貢献が期待されます。具体的には,この後に続くCT開発部からの報告をご参照ください。

ヘルスケア社の設立と今後の事業展開

東芝は2013年7月,ヘルスケア関連事業を統合した社内カンパニーとしてヘルスケア社を新設し,エネルギー(Energy),ストレージ(Storage)に加えて3つ目の事業の柱とする方針を発表しました(図2)。東芝の持つさまざまな技術をこれら3つの領域に結集させることによって,人々がより安心・安全・快適な楽しい暮らしができる社会の創成に貢献していくことをめざします。東芝メディカルシステムズは,国内ではメディカル事業のリーディングカンパニーとして,海外では135か国以上で事業を展開するグローバル企業として,名実ともに東芝ヘルスケア社の中核を担い,事業の強化,拡大を図ってまいります。

図2 ヘルスケア社新設と3つの事業の柱

図2 ヘルスケア社新設と3つの事業の柱

 

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東芝メディカルシステムズの経営理念である “Made for Life”の実現,そして,日本におけるCTの医療被ばくを一気に半減させる目標に向けて,患者さんのために,あなたのために,そして,ともに歩むために努力を続けていく決意を改めてお約束します。


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