MegaOak/iS × 茅ヶ崎市立病院
真正性を確保した診療録の管理と診療サポート機能を活用して“健やか・共創”の医療を展開 成長型の電子カルテシステムで機能の拡張に柔軟に対応

2019-7-1

NEC

電子カルテ


診察室でのMegaOak/iSによる入力風景

診察室でのMegaOak/iSによる入力風景

茅ヶ崎市立病院は,神奈川県茅ヶ崎市,寒川町などの湘南東部地域の医療を支える自治体病院として“健やか・共創”の理念の下,急性期医療を展開する。同院では,2016年にNECの電子カルテシステム「MegaOak/iS」を導入し,診療に活用している。成長型のシステムとして,変化し続ける医療環境に柔軟に対応する最新の電子カルテシステムの運用をレポートする。

“健やか・共創”の理念の下,最新かつ最善の医療を提供

茅ヶ崎市立病院は,病床数401床,26診療科の急性期基幹病院として茅ヶ崎市や寒川町などを中心とする湘南東部医療圏の地域医療を支えている。地域医療支援病院,災害拠点病院,神奈川県がん診療連携指定病院,地域周産期母子医療センターなどの指定を受け,診療面では乳腺外科や形成外科の新設など地域の医療ニーズに応えて診療機能の拡充を進めると同時に,自治体病院として周産期医療や小児医療などにも力を入れている。
望月孝俊病院長は診療のポイントを,「基本理念は“健やか・共創”です。地域の医療機関との連携はもちろん,患者さんやその家族,さらには地域住民とも協力し合って健やかな暮らしを共に創るという意味が込められています。また,院内でも診療科や各部門が単なる“チーム医療”ではなく,それぞれの専門性を発揮して最善の医療の提供のために“共創”してほしいと考えています」と説明する。

望月孝俊 病院長

望月孝俊 病院長

小児科・小田洋一郎 部長

小児科・小田洋一郎 部長

 

 

電子保存三原則の担保を条件に電子カルテを選定

同院の病院情報システムは,2000年に第1期として最初のオーダリングシステムを導入。2008年には第2期としてベンダーを変更しNECの「MegaOakHR」をオーダリングシステムとして導入,PACSなどの部門システムと連携して運用してきた。そして,2016年10月に第3期としてNECの電子カルテシステム「MegaOak/iS」が稼働した。電子カルテ導入の経緯を望月病院長は,「第2期更新の際に電子カルテ化を検討しましたが,部門システム側で保管している診療情報まで含めて電子保存の三原則(真正性,見読性,保存性)を担保するのは難しいと判断し導入を見送った経緯があります。今回の更新では,“医療情報システムの安全管理に関するガイドライン”に沿った運用が可能な電子カルテシステム選定のために,仕様書を作成しプロポーザル方式で入札を行いました。そこで選定されたのがMegaOak/iSです」と述べる。
システム運用に当たる電算管理運営委員会の委員長を望月病院長から引き継いだ小児科の小田洋一郎部長は,「電子カルテを1世代待ったこともあって,機が熟したと感じていました。今の若い医師や病院スタッフは電子カルテが当たり前の世代で,電子化が手段ではなく,実際の診療で電子カルテをいかに活用するかという意識で導入できたという意味でもいいタイミングだったと思います」と述べる。

すべての診療録をヒストリーマップに集約して管理

今回の導入で真正性確保のポイントとなったのが,MegaOak/iSの“ヒストリーマップ”である。ヒストリーマップは,患者の一連の診療で発生する,電子カルテの各種記録や部門システムのレポートなどを集約して,時系列(タイムライン)で表示し参照を可能にする機能である。同院では,診療記録をPDF化し電子署名とタイムスタンプを付与して保存し,ヒストリーマップで管理している。望月病院長は真正性を確保した運用について,「ベンダーにとらわれない,病院としての診療記録の真正性確保のためには,PDFと電子署名,タイムスタンプによるドキュメントの管理がベストだと判断しました。電子カルテと部門システムの運用では,それぞれに診療データを保存し,部門システムの情報は電子カルテからWeb参照するという方法もあります。しかし,部門システムのベンダーを変更した際に,原本としてのデータの継続性や真正性をどのように担保するかが問題です。PDF化した診療記録を専用のシステムで管理する方法もありますが,やはり電子カルテシステムがそれらを統合的に管理できることが理想です。MegaOak/iSのヒストリーマップにはその部分で期待しています」と説明する。

〈ヒストリーマップ〉

部門システムの文書や画像データを含めた一括管理が可能で,患者ごとに時系列で情報が参照できる。

部門システムの文書や画像データを含めた一括管理が可能で,患者ごとに時系列で情報が参照できる。

 

ユーザー目線で使い勝手を向上し業務をサポート

MegaOak/iSでは,“医療従事者の目線に寄り添い,思いを伝えるシステム”として,医療現場のワークフローを考慮した設計を行い,入力を工夫して業務を効率化するさまざまな仕組みを実装している。小田部長は,「これまでは運用でカバーしてきた部分を,電子カルテのみで安全で確実な指示出しができるところまで成長していると感じています」と述べる。
同院の診療をサポートしているMegaOak/iSの特徴的な機能を紹介する。

〈クリニカルデスクトップ〉
クリニカルデスクトップは,診療科や疾患ごとなど一連の業務に必要な入力項目を組み合わせて作成したセットを個人の診療スタイルに合わせて一覧表示し,画面を切り替えずに入力できるようにして診療をサポートする。小田部長は,「診療スタイルに合わせて,パターンを作成して利用することで,効率的な入力ができるようになるのと同時に,入力漏れを防ぎ,均一な診療のサポートとなります」と述べる。また,体重などの条件に合わせて必要な薬剤と用量のリストを作成してセット化することでリスク回避にもつながると小田部長は言う。
「あらかじめ必要なポジティブリストが作れるので誤投与や過剰投与などのリスクを回避できます」

診療科や疾患ごと,個人の業務に合わせたセットを作成して登録できる(左)。必要な項目のみのセットを作成することでリスクを回避できる(右)。

診療科や疾患ごと,個人の業務に合わせたセットを作成して登録できる(左)。必要な項目のみのセットを作成することでリスクを回避できる(右)。

 

〈KeyValue〉
KeyValueは,情報の入力と記録を支援し一元管理を可能にすると同時に,重複入力を防ぎデータの二次利用を容易にする機能で,テンプレートと文書(帳票)の作成に利用できる。例えば,看護記録や問診票で最初に入力された体重や血液型,既往歴などのデータは,患者基本情報を登録する“患者プロフィール”のKeyValueデータベースに登録される。別の文書やシステムで患者プロフィールに登録ずみの情報が必要な場合には,データを引用することで二重入力を防ぐ。テンプレートや文書作成では,KeyValueの項目を利用して自動計算を行い反映させることも可能で,データの二次利用が容易に行える仕組みを提供する。小田部長は,「KeyValueによるテンプレート作成では,患者プロフィールとの親和性の高さがメリットです。入力ずみの項目についてはデータが反映,あるいは簡単に参照でき,同じデータを繰り返し入力する煩雑さがありません。また,演算子や計算フィールドも利用できるので,入力をサポートできます」と説明する。
テンプレートの作成では,フリーテキストの入力項目やラジオボタンによる選択などツールを組み合わせて,必要なパターンを作成することが可能だ。

KeyValueテンプレート(左)ではチェックボックスなどを利用して記事作成を支援。KeyValue文書で作成した共通問診票(右)では登録ずみのデータは自動的に引用されて二重入力を防ぐ。

KeyValueテンプレート(左)ではチェックボックスなどを利用して記事作成を支援。KeyValue文書で作成した共通問診票(右)では登録ずみのデータは自動的に引用されて二重入力を防ぐ。

 

成長型電子カルテとして要望を取り入れてレベルアップ

MegaOak/iSのもう一つの特徴が,ユーザーの要望を取り入れて機能を向上させるレベルアップ方式を取り入れていることだ。導入施設からの要望や意見を集約し,ベースとなるパッケージの機能を強化していくことで,医療環境の変化に柔軟かつタイムリーに対応する“成長型”の電子カルテシステムとなっている。小田部長は,「MegaOak/iSが成長型のシステムであることに大いに期待しています。電子カルテの機能の向上や使い方に関する議論の中で,情報技術が急速に進歩し医療環境も日々変化する現在は,従来のような買い切り型モデルには限界があると感じていました。バージョンアップといっても,公立病院では予算の枠組みの中で対応するには限界があります。定期的なレベルアップを前提とした電子カルテシステムの可能性は大きいと思います」と述べる。その上で,「レベルアップの方法は今後の検討課題ですが,まずは電子カルテの根幹となる機能をさらに充実させ,その上でユーザーインターフェイスや操作性などのブラッシュアップを進めていくことに期待します」(小田部長)と述べる。
望月病院長はMegaOak/iSのこれからについて,「当院の共創の理念は,診療のための機器やシステムをつくるメーカー,ベンダーとも共有できるものだと考えています。医療現場でのユーザーからの声をシステムに反映して,患者さんのために真に役に立つ電子カルテを共に創り上げてほしいと思います」と期待を述べた。

(2019年5月30日取材)

 

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〒253-0042
神奈川県茅ヶ崎市本村5-15-1
TEL 0467-52-1111
http://hosp.city.chigasaki.kanagawa.jp/

 

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