■3.0T MRIの最新機種「Achieva 3.0T TX」を発表
フィリップスの展示テーマは,“People focused, Healthecare simplified”。インタビューに応じたフィリップスエレクトロニクスジャパン ヘルスケア事業部社長の藤原浩氏は,「人を中心にヘルスケアサービスを提供していく」と展示テーマについて説明している。
RSNA初日の11時からMRIの新製品「Achieva 3.0T TX」(日本国内薬事未承認)のワールドプレミアが行われた。従来機種である「Achieva 3.0T X」の上記機種に当たるハイエンド装置である。そこに搭載された技術は,かつてSENSEでパラレルイメージングという地平線を切り開いたフィリップスが,Achieva 3.0T TXでは,RF送信における新技術 MultiTransmit(パラレルトランスミッション技術)を開発した。患者の体型に合わせ自動的にRF送信を行い,RFが均一にかかるようにする技術である。これにより,3T装置の課題であった腹部領域の画像でも安定した高画質を提供する。さらに,撮像時間を40%短縮することが可能である。11時からのお披露目では,Achieva 3.0T TXにかけられた白い布がとられると,集まった来場者から大きな歓声が上がった。
このほかにも昨2007年参考出品したマンモグラフィ用の寝台「Mammo Trak」(日本国内薬事未承認)を,さらに仕様を変更したモデルを紹介していた。日本国内でも薬事申請中であり,できるだけ早く発表したいと同社ではコメントしている。
一方,CTも意欲的に2製品を出品した。1つは,今夏国内で発表した256スライスCTの「Brilliance iCT」の下位機種となる128スライスの「Brilliance iCT SP」(日本国内薬事未承認)である(SPはスケーラブル・プラットフォームの意)。ディテクタを現場で交換するだけで,256スライスにアップグレードすることが可能である。昨2007年のRSNAで紹介したiMRC管球やエアベアリングなどによるEssence technologyをIntelligent Technologyと呼んで,スピードとパワーとカバレッジをPRしていた。もう1台のCTは16スライスのタイプ。「MX CT」(日本国内薬事未承認)と名づけられたこの製品はBrillianceシリーズとは異なる新開発のプラットフォームを持つ。かんたんに設置でき,設置面積はわずか18 m2。同社ではミドルレンジの製品に対するニーズが大病院に加え民間病院でも高まっていると分析しており,そのユーザー層を見据えてラインナップを拡充した。
X-rayでは,頭腹部用の「Allura Xper FD20 」を展示した。ディスプレイは56インチの高精細液晶モニタを搭載し,拡大縮小などの画面レイアウトをユーザーが設定できる。また,フィルムバッジに代わるものとして,無線で被ばく量を測定できる。また,ポータブルの装置でも11インチFPD搭載の「Veradius」(W.I.P.)を発表した。
Veradius
同社のソリューションには,患者をはじめ検査や手技を行う者の環境を向上させる「Ambient Experience」があり,国内でも導入が進んでいる。RSNAでもCTやMRIなどの検査環境を提案する展示を行ってきたが,今回のRSNAでは,PET/CTでもAmbient Experienceを紹介していた。PET/CTでは,TOF-PET/CTの可能な「GEMINI TF BIGBORE」(日本国内薬事未承認)を展示した。6月の米国核医学会で初めて発表されたこの製品は,ガントリの開口径85cm。手術シミュレーション用の器具がそのまま入る。がん治療のケアなどの用途が想定される。また,SPECT/CTでは,12秒,60秒の2つの吸収補正モードを持つ「BrightView XCT」を展示した。米国では出荷を開始している。
超音波装置の新製品としては,2008年に発表された 「HD7」,「HD15」(ともに日本国内薬事未承認)が紹介された。
HD7は,クリニックなどのユーザー向けの製品である。
なお,フィリップスは,11月30日夜にパーク・ハイアット・シカゴでセミナー「Philips Healthcare Japan Innovative techonology RSNA 2008」を行った。九州大学大学院医学研究科臨床医学部門教授の本田 浩氏が座長を務め,テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの高橋昌哉氏が,「高磁場MRI − 3Tから7Tまで;新たな情報・コントラストの臨床応用へのチャレンジ」をテーマに講演した。
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