モニタの常識・非常識

Q9 液晶モニタにスクリーンセイバーをかけても意味がないのですか?

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 気がつけば施設内のあちこちに,モニタが氾濫するご時世となりました。電力会社のCMにもありますが,「使用しない情報機器は電源を落としましょう」と言われても,毎回起動時間を無駄に待つわけにもいかず,業務時間中は電源を入れたまま放置してある(いや,待機している)端末をよく見かけます。

 機器管理を行う側の視点からすると,節電ももちろんですが,待機端末のモニタが点灯している光景には心が痛みます。特に医用画像表示用高精細モニタの寿命は,おおよそ3万時間と言われる “バックライトが十分に安定して,明るく点灯する時間” になりますから,高額モニタほど “可能なかぎりこまめに電源を切って” ,次回更新までの時間を稼ぎたいところです。

 ところで,みなさんの施設では,液晶モニタの画面に「スクリーンセイバー」を用いているのでしょうか?

 スクリーンセイバーは,従来CRTモニタにおける画面の保護(焼き付き防止策)として,大きな役割を担ってきましたが,液晶モニタの場合,単純にスクリーンセイバーを起動した状態で放置すると,描画のためにバックライトが点灯し続けることから,結果的にモニタの余命を無駄遣いすることとなります。つまり,液晶モニタを大切に使うなら, “バックライトの電源OFF” が基本で, “スクリーンセイバー起動” は逆効果ということになります。そのため,モニタの中には,離席などにより待機状態となった端末のモニタバックライトを自動的に消灯することで,寿命の無駄遣いを減らす仕組みを採用している製品もあります。

  一方,プライバシーの保護という観点に立つと,スクリーンセイバーも捨てたものではありません。そもそも,モニタに患者さまのデータを展開したまま離席するのはいかがなものかとも思いますが,どうしても少しだけ離席せざるを得ない状況は多々あります。そんなとき,無人となった端末のモニタに,患者情報が表示され続けているようでは問題ですから,素早くスクリーンセイバーが起動する設定として,画面の再表示にはパスワードの入力が必要などという,プライバシーに配慮した仕組みの導入が理想的です。

 ただしくどいようですが,液晶モニタの更新時期を延ばすためには, “スクリーンセイバーの起動” ではなく, “バックライトの電源OFF” が基本です。端末のユースケースに応じ,双方のメリットを生かして,上手に使い分けたいものですね。

 さて,今回はバックライトの劣化を防いで,いかに更新時期を延ばすかを考えてみました。次回は,輝度が劣化したモニタでも,「バックライトさえ交換すれば,いつまでも新品同様に使い続けられるのか?」がテーマです。お楽しみに。

松田恵雄 埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部

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(月刊インナービジョンより転載)