モニタの常識・非常識

Q8 コンピュータとの接続規格によっては,せっかくのキャリブレーションも台なし……なのですか?

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 どのようなモニタであっても大抵の場合,コンピュータ本体とケーブルでつないで使用するはず……。今回は,このコンピュータとの接続規格についてです。

 最近は,無線式の画像伝送技術も発達してきましたが,少なくとも医用画像の表示に用いる端末の多くは,コンピュータ本体とモニタを何らかのケーブルでつないでいることと思います。

 少し前まで汎用モニタにおいて一般的であったアナログ方式の映像入出力規格(コネクタの規格や端子の俗称から,D-Sub15やVGAと呼ばれている)も,徐々にデジタル方式(DVI:Digital Visual Interfaceが一般的)に置き換わりつつあるようですが,高い互換性に基づく製品採用率を背景に,まだまだアナログ方式の接続が数多く残っているのが現状かと思います。

 実は,モニタのキャリブレーションを行う上で,環境光や画面反射などへの配慮を題材とした話題は多いのですが,接続ケーブルの仕様について議論されることはあまりありません。しかし,基本的にモニタをアナログ接続したままで,表示品質の微細な調整議論を行うくらいなら,まずデジタル接続に変更するべきです。

 医用画像の表示を目的とした高精細モニタにおいては,ハイクラスになるほど,初めからDVI端子による接続方法しか用意されていません。これは,伝送信号上の問題(制御・情報量)やグラフィックカードとのセット利用を前提としているという背景もありますが,そもそもアナログ接続ではせっかく最適なキャリブレーションを行っても,伝送信号が変動してしまうことでその苦労が十分に生かされない可能性があるからです。

 通常,液晶モニタの内部では,デジタル信号処理を行った後,液晶制御により画像を表示させます。ということは,コンピュータとモニタがアナログ接続されている場合の伝送信号は,コンピュータから出るときにアナログ変換され,モニタに入った時点で再度デジタル変換されることとなり,二重に変換誤差が生じてしまいます。しかも,アナログ信号は電圧の差で表示出力値(輝度など)を伝達していますから,ちょっとした抵抗(コネクタの接触不良)や外部ノイズにより大きな影響を受けてしまうのです。

 現在もミドルクラスのモニタには,まだまだVGAタイプの入力端子が残されており,モニタの買い換えどきなどには,「ケーブルを再度引き回すのが面倒」や「コンピュータ側のビデオカードにDVI端子を増設する予算がない」などの理由から,モニタのVGA端子にいままで使用していたアナログケーブルを接続して「完了」とするケースを見かけます。

 みなさんの施設に設置された医用画像表示用途のモニタは,すべてデジタル接続になっていますか? 一度確認されてみてはいかがでしょう。もったいないことに,デジタル接続が可能な機器同士にもかかわらず,「大した理由もなくアナログ接続のまま」という仕様がけっこう残っていたりするものです。

松田恵雄 埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部

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(月刊インナービジョンより転載)