名古屋掖済会病院救命救急センターが2007年秋に導入したFVT250は,PCと大画面汎用モニタの間に接続することで,DICOM表示対応,キャリブレーションや輝度ムラ補正などのモニタ品質管理,8ビットの階調を10ビット相当に向上させて表示する機能を有する。
DICOM規格に対応した高精細モニタは,高額な上に45インチクラスの大画面の製品がない。竹内愛朗副技師長は,「大画面汎用モニタにFVT250を組み合わせることが,最もコストパフォーマンスが優れている選択だった」と説明する。
そのFVT250と接続した大画面汎用モニタの画質は,導入前の検討において,誰もが一様に高精細モニタに匹敵するレベルを実現していることに驚いたという。「単純X線撮影のフィルムに近い画質が得られている」と評価した医師もいた。時間短縮,大画面閲覧というメリットに加え,胸部のコントラストの問題がクリアされたことで,「救急で十分使える」と,松崎副技師長は確信を得て導入に至った。
実際の救命救急の場では,肋骨の重なった部分や,腸管ガスなどが複雑に重なる領域である腸骨の骨折が観察できるなど,FVT250を導入することによりこれまで見えかったものが見えるようになったと,スタッフからは評価されている。
さらに,松崎副技師長は,「重度外傷の患者さんの体を起こして動脈が破裂することを防ぐため,バックボードで運び,そのまま撮影するケースでも,頸椎の側面画像などが白飛びすることがない。気胸,骨盤での出血,頸椎損傷など,生命にかかわるポイントについて迅速にトリアージできることはきわめて重要で,FVT250がそれを可能にした」と,その有用性について説明する。また,肥後技師長は,「近くでフィルムを見るのではなく,遠くから大きな画面を見ることで,全体が把握できる」と,メリットを挙げている。
このほか,センターでは,患者さんの関係者への説明にも,大画面汎用モニタが利用されている。3D画像を動かしながら,何人かを相手に説明するには,大画面モニタは好適である。 |