富士フイルムのnexus sifには,内視鏡画像管理システムのほか,超音波検査画像管理システムがあり,大阪市立大学医学部附属病院ではこの2つのシステムを導入している。また,病理部門には病理検査支援システムnexus Path-Linkを導入した。
内視鏡画像管理システムは,内視鏡部門における,受付,前処置室,検査室,洗浄室,カンファレンス室で発生する情報を一元管理する。受付や検査室でのオーダ内容の確認や,問診,実施入力,検査後には端末で画像を参照しながら所見を作成するなどの機能を備えている。現在,システム上では洗浄室でのスコープ管理を行っていない。しかし,将来的には洗浄室に端末を設置し,スコープの洗浄や使用情報をバーコードで管理できるようにする予定である。
内視鏡センターでは,新システム稼働前に業務フローを繰り返し確認し,念入りに運用方法を決定した。現在では,nexus sifを電子カルテシステムや医事システムと連携させたことで,診療科からのオーダの受け付けから,会計終了までの情報を管理することができる環境となっている。ほかの部門との連携については,nexus sifから,病理部へ病理検査のオーダを送信できるようにもなっている。
内視鏡センターの診療は次のような流れで行われる。診療科の医師が電子カルテシステムに入力したオーダは,nexus sifに送信される。受付に来た患者さんの情報は,外来患者の場合,診察券からIDを読み取り,入院患者ならばリストバンドのバーコードを読み取ることで確認が取られる。続いて,当日行われる検査内容に従って,前処置の前に看護師による問診が行われる。これは,外来の診察で患者さんが医師に伝え忘れていた既往歴や禁忌薬などがないか,また,検査前の注意事項を守ってきたかなどの最終確認をするためである。この問診結果を看護師が入力後,前処置が行われる。
内視鏡検査室には,タッチパネル端末nexusSIF321 TPが設置されている。医師がオーダ内容や直前の問診結果,前回検査の内視鏡画像やレポートを参照できるようになっており,検査実施前に必要な情報を確認する。また,検査の実施入力もタッチパネル端末で行うようになっており,その結果は医事システムに送信される。このほか,生検を行った際はタッチパネル端末から検体ラベルの発行ができる。ラベル発行用のプリンタは内視鏡装置のカートに設置されているため,検体を採取したその場でラベルを貼付できる。これにより,検体の取り違えなどのミスを起こらないようにしている。
内視鏡センターには,内視鏡装置が7台,X線撮影装置が2台設置されている。内視鏡画像はJPEG形式で,X線画像は放射線科のPACSにDICOM形式で保存されている。電子カルテシステム,内視鏡,病理,超音波の部門システムは,共通の端末を使用しており,電子カルテシステム画面の「部門業務」から各システムを立ち上げることが可能だ。内視鏡,病理,超音波画像のほか,PACSに保存された放射線科の検査画像も含め,院内で発生する画像を電子カルテシステムの画面から参照することができる。
内視鏡センターのカンファレンス室には,電子カルテシステムの端末が 10台設置されており,必要に応じて内視鏡検査の前や所見作成時にカルテを参照している。また,同院は,各部門のサーバとは別に,院内で発生する画像やレポートデータを統合管理するシステムを導入しており,そこからも患者ごとの画像やレポートデータを一覧で参照できるようになっている。
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