健康管理センターでは,開設時から健診システムとPACSを運用している。足立雅樹准教授は,「計画段階から,フィルムレス運用,検査当日の判定が可能な日帰りドック体制の構築を目標にしていた」と述べている。この目標に基づいて,開設の2年ほど前からセンター内に導入するシステムの検討を始めた。
採用するシステムの選定に当たっては,個別の部門システムを連携させるマルチベンダー方式ではなく,1社単独で全体を構築できることをまず優先させたという。これについて,足立准教授は,「システムにトラブルが発生した際,マルチベンダー方式だと,その原因が特定できなければ,サポートに連絡しても対応してもらえないことが考えられる。また,当時はDICOM規格への対応も今ほど進んでいなかった。こうしたことから,電話1本ですぐにサポートを受けられるようにすることを最も重視した」と述べている。
こうした条件に基づいて検討を進めていったが,サポート体制の充実という点で,国内メーカーを中心に選考が行われ,最終的には,東芝メディカルシステムズの健診システムと健診PACSの導入が決定した。足立准教授は,選定の理由を次のように説明する。
「同社のシステムは規模の大きな施設でも対応可能なシステムであり,総合モダリティメーカーであるという点も評価し,CT,DR,USなどのモダリティをシステムに接続することもスムーズに行えると判断した。また,こちらの要望に可能なかぎり対応する姿勢も良かったと思う。システム構築に際しては,専任の係をつけてもらい,幾度も話し合いを持って開発に当たってもらった」
開設と同時に稼働し始めた健診PACSにより,同センターではフィルムレス運用と検査当日の判定という目標を実現することができた。足立准教授は,システム導入の評価として,「10年も前から面接時にモニタで画像を見せて説明を行っていたというのは,非常に画期的なシステムだと言える。受診者も非常に満足していたと思う」と当時を振り返る。
また,北村勉課長は,「検査画像だけでなく,例えば過去3年分の健診データの数値をグラフ化して受診者に説明するといったことができ,視覚に訴えるわかりやすい説明ができていた。受診者に行ったアンケートでもその点については良い回答を得られていた」と述べている。
こうして10年近くにわたり運用されてきた健診PACSであるが,老朽化が進んだことから,2005年ごろから健診システムとともに本格的に更新の検討を始めた。システム構築にかかわった有田信和検査技師は,「電子カルテシステムを手がけるメーカーも含め数社が候補となったが,過去の検査画像データをコンバートするコストなどを考慮し,再び東芝メディカルシステムズのシステムの採用が決まった。更新に当たっては,さまざまな改良点や面接画面の色,文字サイズを大きくするなどのセンター側から出された要望にも柔軟に対応してもらった」と説明している。
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北村勉課長。
健診システムと健診PACSの更新により,旧システムで行っていた受診者の名前や検査データなどの入力作業が大幅に省力化され,それにより,ミスが発生する可能性も低くなったと説明する。 |
有田信和検査技師(システム担当)。
東芝メディカルシステムズのサポートについては,システムの改善点などの要望に対し随時対応する体制になっている点や,施設の運用に合ったシステムになるよう個別に対応する点を評価する。 |
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