1 「NPO法人肺がんCT検診認定機構」の設立と認定医師について:長尾啓一氏 |
2 認定技師について:花井耕造氏 |
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1 「NPO法人肺がんCT検診認定機構」の設立と認定医師について:長尾啓一氏 |
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● 現行の対策型肺がん検診の現状,そして低線量CT検診の状況についてお聞かせください。 |
長尾: |
いわゆる対策型の単純X線検査による肺がん検診は,1990年代後半に報告された厚生省研究班の研究成果により,経年受診で死亡率の減少が明らかに認められ,有効性が示されています。有効性評価に基づくがん検診ガイドラインでは,従来型肺がん検診は推奨レベルB*1になっています。しかし,見逃しのない診断が難しいにもかかわらず,どこでも誰でも検診や読影を行うことができてしまうので精度管理に問題があり,どこの肺がん検診でも有効だということがなかなか言えませんでした。推奨レベルBに至るまで,長い時間と労力がかかっています。
一方,「東京から肺がんをなくす会」や「日本CT検診研究会」(現学会)における長年にわたる臨床経験や研究結果から,CTで早期(T期)の肺がんが発見され,予後も良好ということがわかってきました。最近では人間ドックのオプションとして,任意型の肺がんCT検診が行われるようになり,実施機関は増えつつあります。しかし,検診は受診者に最小の不利益を与えることで最大の効果を得るものですから,被ばく量はできるだけ低く抑える必要があります。日本CT検診学会では,10〜30mAsの低線量CTのエビデンスを検討し,推奨してきました。しかし,現状では,一般診療と同じ撮影条件で撮影されたり,条件が施設ごとにバラバラだったり,被ばく量や安全性の点で非常に問題があります。このような精度管理が不十分な状態のまま,任意型検診がどんどん広がることは問題であり,早くなんとかしなければならないと思っています。 |
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● 肺がんCT検診の有効性についての評価は確立されているのでしょうか。 |
長尾: |
低線量CTによる肺がん検診は,1993年から日本を中心に海外でも研究が行われてきました。それによると,従来の単純X線検査に比べてCTでは,数倍の高い発見率と,1 cm前後の小さい肺腺がんが多く見つかるという結果が報告されています。しかし,死亡率減少に効果があったという具体的な報告はほとんどありません。現在,米国や欧州でランダム化比較試験(RCT)*2が行われていて,その結果が今年中に報告される予定で注目されています。
日本では,東京から肺がんをなくす会や日立健康管理センターにおける研究で,繰り返し検診が早期肺がんの発見率を向上させ,死亡率を低下させるという評価が報告されています。また,2005年から厚生労働省の第3次対がん総合戦略研究事業による「革新的な診断技術を用いたこれからの肺がん検診手法の確立に関する研究」班(2005年〜主査:大阪府立成人病センター研究所・鈴木ヘ一郎氏,2007年〜大阪府立成人病センター・中山富雄氏)のコホート研究(JLSS)*3,が実施されています。今年の2月13,14日に開催された第16回日本CT検診学会学術集会で中山先生が報告された大規模コホート研究のデータでは,非喫煙者では,CT検診によって肺がん死亡リスクが通常検診よりも減少し,喫煙者では年1回で2年以上連続して受診すると,肺がん死亡リスクが通常検診よりも減少するという成績の一部が示されました。また,特に女性ではCT検診により肺がん死亡リスクが減少するという結果が出ています。これは,われわれ肺がんCT検診関係者にとって,非常に心強い結果です。われわれとしては,このような日本のコホート研究データを見ている限り,肺がんCT検診を行う意味があると考えています。
有効性評価においては理論的にはRCTの方が価値が高いのですが, CT検診の精度に関しては,海外に比べて日本はかなり優れていると思いますので,たとえ米国のRCTでネガティブな結果が出たとしても,必ずしも悲観的になることはないと考えています。 |
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*1 |
推奨レベルB:死亡率減少効果を示す相応な証拠があるので,実施することを勧める。対策型,任意型とも推奨。 |
*2 |
ランダム化比較試験(RCT):データの偏り(バイアス)を防ぐために,被験者を無作為(ランダム)に対照群と非対照群に振り分けて実施し,評価を行う臨床試験。有効性証明のゴールドスタンダードだが,日本ではさまざまな理由で実施が難しいとされている。 |
*3 |
コホート研究:要因対象研究,前向き研究とも言う。喫煙者群と非喫煙者群(対象群)を無作為に抽出,2つの群で,肺がんに罹患するどうかを観察。得られたデータをもとに,罹患率や相対危険度,寄与危険度などを求める。 |
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● 肺がんCT検診の認定制度が必要になった理由とはなんでしょうか。 |
長尾: |
任意型で全国的に広がりつつある肺がんCT検診が,精度管理が不十分な状態で普及することが懸念されました。安全で精度の高いCT検診を受けられる体制づくりが必要です。そのためには,しっかりした精度管理のもとに検診が行われ,要精検率,精検受診率,肺がん発見率,さらには生存率などのデータを取り,それらをフィードバックして分析しないと意味がありません。検診そのものの質が高くないと,そこから出たデータは分析する価値がなくなります。さらに,これから対策型の検診に導入されるためには,良い成績としっかりした科学的なデータを蓄積していくことが必要です。そして,質の管理や精度を向上させるためには,責任ある組織によるチェックが必要です。高い技術と能力を持って安全性を保ちつつ検査・診断し,精度を管理し,その後のデータ管理に結びつけることができる人材を確保する認定制度が必要だと考えています。
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● 認定制度の検討が始まってから,NPO法人の設立に至るまでの経緯をお聞かせください。 |
長尾: |
2005年の第12回日本CT検診学会学術集会の頃から,精度管理委員会において認定制度を求める機運が出てきました。そして,私が2006年の第13回学術集会大会長の時に,認定制度に関するシンポジウムを企画して本格的な検討が始まりました。当時,乳がん検診の精度管理の仕組みとして高く評価されていた「マンモグラフィ検診精度管理中央委員会」の森本忠興理事長に特別講演をしていただき,それを受けて認定制度のシンポジウムを行いました。
2007年,日本CT検診学会が呼びかけて,日本医学放射線学会,日本呼吸器学会,日本呼吸器外科学会,日本肺癌学会,日本放射線技術学会の関連6学会による肺がんCT検診認定医と認定技師の可能性について考える「CT検診認定制度合同検討会」が立ち上げられました。この6学会は,肺がん,放射線診断,CTをキーワードに決めたものです。それから2008年末までに計7回の会議が開かれました。 最初は,そんなことをしても意味がないとか,読影する医師が減ってしまって逆効果になるとか,認定制度に否定的な意見がかなりありました。しかし,根気よく話し合っているうちに,お互いに自分たちが何を持っていて,何が足りないか,だんだんわかってきました。それに,CT検診の現状の問題点がわかってきて,それを改善するにはやはり,CT検診の質を担保しなければならないということになり,基本的な合意ができるに至ったわけです。
そして2008年9月頃,合同検討会をベースに「特定非営利活動法人(NPO) 肺がんCT検診認定機構」(Japan Accreditation Council for Lung Cancer CT Screening)を起ち上げ,認定組織にすることが決まりました。2009年4月21日,東京都の認証が下りましたので,正式に設立し,活動を開始いたします。 |
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● NPO法人の組織,運営,認定方法などを具体的に教えてください。 |
長尾: |
私が代表理事を拝命し,理事については6学会から各1名が任命され,構成員として人的サポートをしてくれます*4。事務局はとりあえず,日本CT検診学会の事務局に委託します。NPO法人になると,自前で資金を調達していかなければなりませんので,今後は講習会受講料や審査料などをそれにあてる予定です。
具体的な認定方法で問題になったのは,各学会に所属している医師たちが全員,日常CT検診をされているわけではないことです。そこで,各学会に専門医制度があるところは,肺がんCT検診の講習会を受けて単位を上乗せして認定することにしました。日本肺癌学会と,日本CT検診学会の2つは専門医制度がないので,7年以上学会員で,なおかつ肺がん診療や検診に従事していれば受講後に認定する予定です。複数の学会に入っている医師が多いので,いずれかで専門医を持っていればいいのではないかと考えています。講習は,学会の総会などの際に各学会が独自に行ったり,われわれ機構が主体で行ったりする方法があります。認定に必要な講習会の回数は,いまのところは1回だけです。臨床ができる方でも検診の特殊性については,ぜひ知っていていただきたい。とにかく任意型のCT検診がどんどん広がり,待ったなしの状態ですから。
認定資格は,5年ごとに更新してもらうことは決めました。ただ,具体的に更新に必要なポイントというのは,まだはっきりとは決めていません。専門医制をとっているところは,更新時点で専門医を持っているということが,必要最低限のポイントです。それにプラスして,講習会,場合によってはトレーニング講習を受講するということになると思います。予算が許せば,今後はeラーニングも考えていきます。
実は,すでに講習会が始まっていて,先行したのが日本呼吸器外科学会です。まだNPO法人を起ち上げる方向でいくということになった時に,先行して第1回目の講習会を第25回日本呼吸器外科学会総会において実施し,335名受講されています。そこで発行された受講証と専門医証を認定機構に提出すれば,認定医証が発行されることになります。その後,日本放射線技術学会を中心とした認定放射線技師認定制度小委員会が第1回講習会と認定試験を1月31日,2月1日の2日間開催し,110名の受講者中103名が合格したということです。さらに,4月19日には日本医学放射線学会が総会のシンポジウムとして講習会を開催し,1000名以上が受講しています。 |
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*4 |
副代表理事:江口研二(日本呼吸器学会),理事:萩原 明(日本放射線技術学会)/蘇原泰則(日本呼吸器外科学会)/村田喜代史(日本医学放射線学会)/西井研治(日本肺癌学会),監事:金子昌弘(日本CT検診学会) |
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● ここに至るまでで一番大変だったことは何でしょうか。 |
長尾: |
合同検討会を構成する6学会に,あまりに温度差があったということです。考え方や認識の違いが大きくて意見が一致せず,一時は認定制度自体の実現も危ぶまれるほどでした。現時点でまだ完全に解決したわけではありません。この間も日本呼吸器外科学会の理事会に説明に伺い,質問状をいただいて回答しています。今後も私の方から各学会に伺ってご説明すれば,理解をしていただけるものと考えております。
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● NPO法人としての今後の活動,さらに肺がんCT検診のあり方についてどのようにお考えですか。 |
長尾: |
この認定制度の一番の目的は,肺がんCT検診実施施設における精度管理の向上です。したがって,将来的には認定医師と認定技師に加えて,施設を対象とする認定を考えていかなければなりません。認定施設における精度管理が基本になると考えますので,施設認定を実現させることが,機構としてのゴールになると思います。
肺がんCT検診の位置づけについては,最終的には対策型検診にならなければ,本当の意味の検診として認められたことにはならないのではないかと思います。いまの対策型検診の財源は地方に交付された一般財源によるわけで,どう使うかは地方自治体任せですので,財政状況が厳しい自治体では検診にあまり回らないことなどが問題になっています。このような財源の問題,そして有効性評価の問題など,対策型にはさまざまなハードルがありますが,今回の認定制度でCT検診の質を管理し,データを積み重ねていくことが重要だと思っています。また,CT検診を肺気腫(COPD)診断や禁煙指導ツールなども含めて,肺がんに限らず幅広く応用する方向も考えられています。肺がんにならないような生活習慣を身につけるための指導ツールとして使えるので,結果的に肺がんで死亡するリスクが減る可能性に貢献できると思います。 |
(2009年4月24日(金)取材:文責inNavi.NET) |
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2 認定技師について:花井耕造氏 |
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● 肺がんCT検診における専門技師の必要性については以前から議論されていたようですが,今日までの経緯をお聞かせください。 |
花井: |
当初は,2005年から3年間の厚生労働省第3次がん総合戦略研究事業の中で,「新しい検診システムの構築と検診能率の向上」(主任研究者:土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)という研究班が立ち上がりました。その中で,“胸部CTスクリーナ制度”が提唱されたことが始まりです。この研究は乳房や胃など,いろいろな検診やモダリティが対象でしたが,肺がんCT検診の分野においては検診能率と検診精度の向上が議論されました。これは,診療放射線技師が検診CT画像に対して異常所見の検出というスクリーニングを行い,その結果を参照しながら医師がCT画像を読影し,最終判定するという定義でした。技師が行うのは一次読影ではなく,あくまで異常所見の検出であり,医師の判断をアシストし,検出能率の向上に貢献することを期待したものです。検診で最も重要なのは精度管理です。従来の単純X線検査による肺がん検診は精度管理の点において課題がありました。この教訓を生かして肺がんCT検診ではしっかりとした人材育成と精度管理を通じて,多くの国民が安心して精度の高いCT検診を受診できる体制づくりを目指したものでした。また,CT検診が普及した場合,読影医の負担を減らすことも目的のひとつでした。マルチスライスCT(以下,MSCT)による検診では画像枚数は膨大になり,読影医の負担は重くなる一方です。検診分野において技師が異常陰影の検出を補うことは非常に現実的な方法と思われました。しかし,スクリーナという言葉が診断を含めるような印象があり,現場の医師との間で齟齬が生じました。これは私の説明不足と言葉足らずにありました。結局,この提案は研究班の中だけの議論に終わりました。
土屋班での研究が終わり,制度に関する継続的な活動の場がなくなりましたが,日本CT検診学会技術部会の中で検討を続けていこうということになりました。これと並行して,江口先生,村田先生,長尾先生,金子先生のご尽力により,医師と技師を含めた学会全体としての認定制度を進めることとなり,関連する6学会による第1回CT検診認定制度合同検討会が2007年3月に品川で開催されました。ここで,医師と技師の両方の認定という新しい展開が生まれたのです。所見の判定結果に責任がとれるのは医師だけです,やはり,認定医と認定技師が一緒に組むことで,明確な責任と業務分担と信頼関係の下に効率良く検診を進めることが必要です。そして,第1回の合同検討会において,認定技師の呼名を胸部CTスクリーナではなく,肺がんCT検診認定技師とすることが決まりました。 |
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● 肺がんCT検診認定技師の要件,役割についてご説明ください。 |
花井: |
最も大きな役割は肺がんCT検診認定医との密な協力体制の下に,安全で精度の高いCT検診を全国的に普及させることです。 これを達成するための業務として,第一にMSCTでは,拡大再構成処理などの病変部の薄切り(Thin-Section)画像表示やデータの処理・保存の判断があります。シングルスライスCT(以下,SSCT)では,HRCT(高分解能CT)実施の判断を行います。また,被ばく線量を最小限にしつつ最適な画質を維持するスキャン条件の設定,装置の精度管理,安全性管理を行います。第二には,検診CT画像に対する肺結節の検出があります。肺がんCT検診認定技師には,これらの業務を円滑に精度良く,高い水準で行う能力が要求されます。
現在,肺がんCT検診のための撮影条件は日本CT検診学会が推奨している条件があります。SSCTは,10mmスライス厚で120kV,30mAs前後のスキャン条件がゴールドスタンダードです。ところが,MSCTは,通常4〜64列,最高320列まであり,非常に装置差があります。推奨する条件はありますが,これでというスキャン条件はまだ決められないのが現状です。 土屋班において,実際に検診で使われているCTの撮影条件の実態調査(全国245施設)を行いました。この中で,150mAsという通常の精査に近い線量でスキャンしていたり,すべて1mmスライス厚の撮影と画像表示が行われたり,さまざまな施設がありました。薄切り画像では画質(ノイズ)を担保するために多くの線量が必要となります,しかし,通常,読影される厚切り画像に再構成した場合には,オーバードーズとなります。これは例えば,快適さを求めるために一般道をいつも最高速度で走るようなものです。目的に合った最適なスキャン条件で,かつ画質とのバランスをとりながら,しっかりと線量と画質の管理をしていかなければなりません。認定技師の重要な役割のひとつだと考えます。
また,受診者がCTの寝台に乗っている間に,いかに1つ上の仕事ができるかが検診現場では重要です。その場で異常陰影を見つけ出してHRCT撮影の追加やThin-Section画像表示などが行えれば,受診者と読影医の双方に貢献できると思います。いまは大学院を卒業した優秀な技師が非常に増えていますので,新しい分野を彼らが開拓していかなければなりません。画像から異常所見を読み取ることも,新しい分野のひとつではないかと思います。 |
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● 認定の方法や考え方について具体的にお聞かせください。 |
花井: |
技師の認定方法については認定制度合同検討会とは別に,認定制度小委員会をつくって議論していきました。技師の場合は,異常陰影所見の検出能力を担保することが必要となります。講習や筆記試験だけでなく,画像を用いた異常所見の検出試験も行うことにしました。受講者一人ひとりがパソコンのモニタ上で,1症例につき約30スライス,60症例のCT画像に対して,検診現場で行われているのと同じ状態で異常所見を検出していくのです。日本で初めての試験システムですが,富士通の村尾晃平氏と放射線医学総合研究所の松本 徹氏が開発したオリジナルの異常所見検出試験システムです。
今年(2009年)の1月31日と2月1日の2日間,第1回講習会を駒澤大学で実施しました。235台のパソコンが設置され,ネットワークが組まれている会場です。受講資格は臨床経験2年以上の診療放射線技師で,469施設・595名の応募がありました。その中から,検診施設を優先し,経験10年以上20年未満で1施設1名,地域の中核検診施設を選考条件にして,110名の受講者が決まりました。認定試験には103名が合格し,その平均感度は5mm以上の結節に対して95%というすばらしい結果でした。技師が専門的なトレーニングを積むことで,現場で実務として異常所見を検出する能力があることを担保できたと思います。
この時の講習会の費用ですが,受講料が1万5千円,事前に渡す検出訓練用DVDつきテキスト代が1万円,認定料が5千円です。合格した人は認定機構に申請して認定されることになります。 |
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● コンピュータ支援診断システム(CAD)についてはどのようにお考えですか。 |
花井: |
私は,国立病院機構神奈川病院で5年間,肺がんCADを使った検診業務に従事していました。そこは,研究目的以外でCADが一般病院で実務に使われた初めての施設です。CADは本当にすばらしい検出ツールのひとつです。認定技師と組んで異常所見を検出すれば,より精度の高い結果が得られます。さらに,その結果を肺がんCT検診認定医師が判定すれば,もっと精度が高くなります。便利なツールであるCADを医師と技師が使いこなすことで,より精度の高い肺がんCT検診を行うことが可能になります。CADがあれば認定技師は必要ない,認定技師がいればCADは必要ない,というような議論はありえません。技師と医師がCADを使いこなす。それこそが時代の流れではないでしょうか。
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● 認定制度は始まったばかりですが,これからの検討課題や展望についてお聞かせください。 |
花井: |
ネットワーク化されたパソコンが必要な試験を行うには,100名前後の受講が限度です。土屋班の調査では,肺がんCT検診認定技師の需要は2400名ということですので,1回100名前後では相当な時間がかかってしまいます。そこで,講習会と所見検出試験を別々に行うことを検討しています。講習会は全国各地で行い,検出試験を1回150名として1日数回実施すれば数百名になります。なるべく早く認定技師数が増えるように,運用面での工夫をしていきたいと思います。まずは人数を確保して,施設全体の検診能力の標準化を実現し,それからレベルアップを図っていきたいと思います。
認定施設の導入も目標です。肺がんCT検診認定医師と認定技師がいて,決められた低線量撮影条件で,精度良く,検診が実施していることが確認されれば,難しいことではありません。 これからは,肺がんCT検診認定医師と認定技師が密に連絡を取り合い,お互いの信頼関係と協議の下に肺がんCT検診を進めていく。このことが肺がんCT検診の全国的な普及に必須な要件と考えます。次回の第2回講習会・認定試験は本年8月29日,30日に駒澤大学(東京)で行われます。多くの方の受講をお待ちしています。
・第2回肺がんCT検診認定技師講習会・認定試験のお知らせ |
(2009年4月24日(金)取材:文責inNavi.NET) |
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