先の総選挙は,周知のとおり,民主党の「歴史的圧勝」に終わった。その後,あらゆるマスコミが,民主党のマニフェストを検証し始めている。思えば,従来の選挙後に,政権党の政策(公約)を再確認することなど,我が国にはなかった。その意味では,今回の選挙が“日本の民度”を高めるきっかけになったことは間違いない。選挙後に組閣が発表され,厚生労働大臣には長妻昭氏(民主党)が選ばれた。かつてから「ミスター年金」として,ジャーナリスト経験者らしい,急先鋒な追及で名を馳せた人物である。他の大臣に決定しそうだったところを,“年金はライフワークだから”と直談判し,厚労相に納まったという報道もある。
その厚労相が,公約どおり「後期高齢者医療制度の廃止」を明言した。「民主党のマニフェスト(政権公約)(PDF)で廃止を明言している。年齢で区分して1つの保険制度に入れるのは無理がある」と述べたものの,「時期や手法については,現状把握をした上で詳細に制度設計を作り上げたい」とし,具体的な廃止時期については言及していない。総選挙後,他の民主党幹部が「1〜2年かけて,十分な議論が必要」と語ったように,すでにスタートした制度を一朝一夕に廃止・変更することは難しい。しかしながら,「後期高齢者医療制度とその関連法を廃止する」というマニフェストがある以上,方向転換が行われることは既定路線と言ってもいいだろう。 |