それでは実際に「回復期リハビリ病棟」と「亜急性期病床」は,どのように変化しているだろうか。平成18年〜20年の推移を確認してみたい(「図表2・3」参照)。結論から述べると,大きな変化は見えてこないというのが現状である。特筆すべきは,診療報酬改定で病床拡大を明確に打ち出したにもかかわらず,目的とする「回復期リハビリテーション病棟入院料1」と「亜急性期入院医療管理料2」の届出が,未だ少数となっている点である。特に「回復期リハ入院料1」は,“リハビリの質や実績(成果)”による区分であっただけに,第三者の目から見ても,正直がっかりするものである。「高い診療報酬が算定できるかどうか」という経営的視点も大切であるが,リハビリの質が低い(成果が実証されていない)ことの方が,問題としては根深いのである。
亜急性期病床についても,“看護師の確保が困難な中小病院は,急性期と連携して亜急性期としての役割を果たして欲しい”という「思い」が届いていないことが分かる。看護配置の13対1・15対1については一般病床であっても,すでに厚生労働省は「急性期」の範疇には入れていない。それはDPCの基準でも証明されていることだ。こうした一般病床を持つ医療機関は,自院の機能を客観的に検証しなければ,次回の診療報酬改定では大きな痛手を受けることになるだろう。
社会保障国民会議の最終報告では,「2025年を目途に,回復期・亜急性期は44万床に拡大する」という方向性を打ち出している。急性期病床の受け皿として,正直,まだまだ不足しているのである。おそらく厚生労働省は,平成22年度あるいは24年度の改定で,さらに回復期・亜急性期を拡大するための方策をとってくるであろう。当然そこには経営的メリットをともなうことになる。“点数欲しさ”に病床機能を転換するのではなく,中長期的視点でもう一度経営戦略を構築していくことが大切なのである。
図表2 回復期病棟の届出状況 |
図表3 亜急性期病床の届出状況 |
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