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取材報告

2011
AIIM JAPAN
低被ばくを実現するX線散乱除去装置「AIR Grid」と
回診用デジタルX線撮影装置「T-WALKERα +D1」を発表

佐藤俊彦氏
佐藤俊彦氏

AIR Gridのラインナップ
AIR Gridのラインナップ

機動性に優れたT-WALKER
機動性に優れたT-WALKER

  (株)AIIM JAPAN(アイムジャパン,本社:東京都港区)は6月17日(金),秋葉原UDXカンファレンス(東京都千代田区)において,高効率X線散乱除去装置「AIR Inter-spaced Grid」(以下,AIR Grid)と,回診用ダイレクトデジタルX線撮影装置(FPDシステム)「T-WALKERα +D1」(以下,T-WALKER)の製品発表会を開催した。
  (株)AIIM JAPANは,遠隔読影サービスプロバイダの(株)ドクターネットの創設者で,放射線科専門医である佐藤俊彦氏が2010年11月に設立した新会社である。発表会では,新会社のコンセプトと製品の概要,今後の展開が発表された。

  佐藤氏はこれまで,(株)ドクターネットの立ち上げや,宇都宮セントラルクリニックほか数拠点の画像診断センターの設立運営と支援,予防医療提供のための健診・検査・読影を行うセントラルメディカル倶楽部の設立など,長年国内の医療現場のシステム構築などに携わってきた。また,これらの経験から,日本では法医放射線医学(Forensic radiology)が欠落していることを感じ,メディカルリサーチ(株)を設立,死因特定などの調査なども手がけている。
  “被ばく低減”と“デジタル化”に向かう世界的なマーケットの動向を受け,AIIM JAPANは,資本業務提携をしているAIIM KOREA社(AIR Grid製造)や,サムスン社(FPD製造),(株)ティーアンドエス(T-WALKER製造)と連携し,市場ニーズに応える今回の製品を開発した。同社では今後も,さまざまな製品を提案しながら,IT・医療機器・放射線科医のネットワークというインフラを整備していくという。

  X線散乱除去装置(グリッド)「AIR Grid」は,カセッテやCRのイメージングプレートに装着することで,約40%の被ばく低減を実現する。従来のグリッドには,散乱線をカットする鉛を支えるために,アルミやカーボンなどの中間材が用いられているが,その中間材が透過率の低下を招いていた。AIR Gridでは,蜂の巣構造にして強度を上げ,中間材を排し中空構造(空気)とすることでX線の透過率を向上させ,低線量で高精細な画像の取得を実現した。AIR Gridでは,グリッドライン(縞目)を高密度化し,FPDなどのピクセルピッチに合わせて製造して,本数を合わせることで,モアレのない,よりクリアな画像が得られる。
  FPD,CR,マンモグラフィ,アナログ対応の4種をラインナップしており,マンモグラフィ専用グリッドでは,鉛を使っている散乱線除去素材に金を使用することで散乱除去効率を上げるとともに,人体や環境に配慮した構造となっている。
  AIR Gridは,X線撮影を行う医療機関向けに販売されているほか,FPDを持つ企業とも提携して,製品に組み込んだ形での製品展開も予定しているという。

  また同社では,このAIR Gridと,サムスンモバイル製のダイレクトデジタルFPDを搭載した回診用デジタルX線撮影装置「T-WALKERα +D1」を発売する。T-WALKERは,回診車に求められる小型化,軽量化,耐久性を実現し,撮影直後に本体モニタで画像を確認できるなど,ベッドサイドでも使いやすい仕様となっている。バッテリー方式とAC方式の両機能を標準装備し,フル充電で150枚(胸部)の撮影が可能である。
  AIR Gridの高い透過率による低線量撮影と,FPDとの組み合わせによって,T-WALKERでは,低被ばく撮影が可能になっている。将来的には,より機動力を高めるためFPDのワイヤレス化を検討しているという。佐藤氏は,宇都宮セントラルクリニックでの「T-WALKER」の使用経験を報告し,特に,体厚により比較的被ばく線量が多くなってしまう胸部側面の撮影において,従来よりも75%も線量を下げることができたと述べた。

  また,AIIM JAPANでは,従来の胸部撮影のスタンドにFPDとAIR Gridをセットで設置する,遠隔画像診断機能搭載胸部用ダイレクトデジタルFPD「T-DRC」も発売する。これによって,ダイレクトデジタルによる検査時間の短縮化や,AIR Gridによる低被ばく撮影が可能となり,さらに遠隔画像診断機能により画像診断センターなどへの読影依頼が簡便になることから,特に,検診センターのスループットの向上に貢献することが期待される。


●問い合わせ先
(株)AIIM JAPAN
TEL 03-3436-7350
http://www.aiim.co.jp/