「乳がん検診推進企業ネットワーク(以下,乳検ネット)」は7月23日(金),セコム(株)本社会議場(渋谷区)において, 3年間の活動を終了するに当たり,その成果およびノウハウをマスコミ公開定例会で発表した。今後の活動は,厚生労働省がん対策推進室が進める,がん検診受診率50%をめざす国家プロジェクト「がん検診受診促進企業連携推進事業(略称:がん検診企業アクション)」において継続される。
乳検ネットは,職域検診率を向上させることで,わが国の乳がん検診率引き上げに貢献することをめざし,2007年に異業種15社(現在10社)により発足された。 発足時に,3年後の2010年に各社の乳がん検診率平均を65%にするという目標を設定したが,2008年度には各社平均が早くも目標を超える69.2%(2006年度の各社平均は49.4%)となった。2009年度の平均は,76.7%に達している。
第1部のマスコミ公開定例会では,はじめに厚労省がん対策推進室室長の鈴木健彦氏が挨拶に立った。鈴木氏は,乳検ネットの活動に敬意を表すると述べた上で,「検診率向上が実現された背景には,企業の方々が検診やがんについてしっかりと理解し,受診率向上に向けて熱意を持って取り組まれたことがある。これが非常に重要な点であり,そういったノウハウを,がん検診企業アクションなど,さまざまな形で広く普及していただきたい」と乳検ネットに参加する企業の今後の役割に期待を示した。
次いで,エイボン・プロダクツ(株)の岩城昌子氏が,乳検ネットの活動内容や成果について説明。乳検ネットが職域検診率の向上を成功させた要因は,(1)検診体制の整備,(2)検診費用の補助,(3)受診勧奨の取り組み,(4)旗振り役の存在,(5)社内の連携,(6)経営者の理解であると述べた。
続いて,GEヘルスケア・ジャパン(株)代表取締役社長兼CEOの熊谷昭彦氏,(株)桃谷順天館取締役常務執行役員の藤本謙介氏,リコーリース(株)常務執行役員の清見純子氏によるパネルディスカッション「企業検診による早期発見・早期職場復帰を!」が行われ,各社の特徴的な取り組みや成果などが報告された。
第1部の最後には,乳検ネットのノウハウをまとめた冊子が鈴木氏に授与され,活動ががん検診企業アクションへ引き継がれた。
パネルディスカッションの様子 |
鈴木氏へのノウハウ集授与 |
第2部は,タレントの山田邦子さんによるトークショー「早期発見のために― 一緒にがんばろう!!」が行われた。山田さんは,2007年に出演したテレビ番組がきっかけで乳がんを発見。摘出手術,放射線治療,ホルモン治療を経験し,現在は厚労省の「がんに関する普及啓発懇談会」のメンバーでもあるなど,がん撲滅に向けた活動にも力を入れている。トークショーでは,乳がん告知を受けた時の心境や摘出手術の経験などが語られた。 |