島津製作所は,本社・三条工場の敷地内に6月に竣工し,稼働を開始した医用機器新工場の報道関係者向けの見学会を開催した。
新工場は,4階建てで延べ面積1万8350m2,1〜3階が工場機能,4階には研修センター,サポートセンター,部品センターなどが入る。総投資額は約40億円。新工場では,血管撮影システムのほかPET/CTやfNIRS(近赤外光脳機能イメージング装置)などの医療機器,直接変換式フラットパネルディテクタ(FPD)やX線管装置などのコンポーネント関係などを製造する。また,金属断熱サンドイッチパネル,人感センサー,太陽光発電パネル,高速シャッターなど環境にも配慮されているのが特長だ。
医用機器新工場は,これまで三条工場内に点在していた医用機器関係の生産部門を新工場に集約し,生産工程の見直しや効率化を進めて生産力の向上を図っている。会見した医用機器工場工場長の堀尾雅俊氏によれば,血管撮影システムで従来3〜4か月かかっていた納期が新工場では1か月に短縮しているという。
また,4階の研修センターには,実機を設置したトレーニングルームを4部屋設けて,同社および関連会社のサービスエンジニアを対象にした研修が行える体制を整えた。サービス統括部部長の重康 章氏は,このトレーニングセンターやリモートメンテナンスセンターなどの設備,体制によってサービスサポート体制の充実を図っていきたいと述べた。
同社代表取締役社長の中本晃氏は,「島津製作所では,2008年から3か年中期経営計画を進めているが,その基本方針のひとつが“機能・プロセス改革”で,生産改革と物流改革によるグローバルSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築を図っている。今回完成した医用機器新工場は,その具体的なアプローチのひとつであり2006年の分析計測機器,2008年の半導体機器の新工場完成と合わせて生産拠点が完成し,高い製品品質,リードタイムの短縮,調達コストダウンを実現する基盤が整ったことになる。今後,島根島津とも連携して製品品質の向上,コストダウンや物流の効率化をめざし,グローバル展開にも対応した生産体制を構築していきたい」とコメントした。
同社では,1997年に島根県に島根島津(島津製作所100%出資)を設立し,一般撮影装置やX線TVの生産を行っている。今回の新工場完成に合わせて,それぞれの工場の役割を明確にして,製造する製品ラインを分けることで,物流の効率化を図り流通コストの削減を実現している。 |