シーメンス・ジャパン(株)と持田シーメンスメディカルシステム(株)は7月3日(土),ホテルパシフィック東京(東京都港区)において,「第1回Breast Imaging Workshop」を開催した。このワークショップは,同社のブレストイメージングに関する技術やソリューションについて,放射線科医や診療放射線技師を対象に紹介するとともに,ハンズオンなどを行い,検査や読影の実際について学ぶ場として設けられた。当日は医師・技師を合わせ約150名が参加した。
ワークショップ開催にあたり,シーメンス・ジャパンのマーケティング本部長であるマーク・フリント氏が挨拶に立ち,乳がんはいま最も注目されている疾患の1つであり,シーメンスは,診断,治療において貢献していくと述べた。さらに,フリント氏は,シーメンスの超音波診断装置の技術であるABVS(Automated Breast Volume Scanner)とマンモグラフィ装置「MAMMAOMAT Inspiration」に搭載されたトモシンセシスを取り上げ,技術の先進性をアピールした。
ワークショップでは,まず乳がん診療における最新技術やソリューションを紹介する「Siemens Breast Care Total Solution」が行われた。シーメンスは乳がん診療において,従来の画像診断だけにとどまらず,ヘルスケア事業の拡大に伴い,カバーするエリアを広げている。当日は,Breast Care Solutionsとして,“Seek(検出)”,“Find(診断)”,“Act(治療)”,“Follow(アフターケア)”という乳がん診療の流れの中で,各ステージにおいてマンモグラフィや超音波診断装置,CT, MRI,SPEECT・CT,放射線治療装置,腫瘍マーカー,画像処理システムなど製品により,トータルソリューションを提供できることが紹介された。その上で,乳がん診療におけるシーメンスの代表的な技術であるトモシンセシスとABVSについての解説が行われた。トモシンセシスは,MAMMAOMAT Inspirationに搭載された新機能で,角度を変えながら25回の曝射を行って3Dの断層像を作成する機能。日本人に多い高濃度乳腺の場合,2D画像に比べ病変部の描出が明確になる。また,ABVSは,超音波診断装置「ACUSON S2000」と組み合わせて製品化されており,自動スキャンを行って,コロナル断面でのデータを取得することができるのが特長である。
これらの技術解説が終わった後,5つのグループに分かれてワークショップは進められた。このうちABVSユーザー講演では,亀田メディカルセンター乳腺センター・乳腺科の戸阜宏氏が「乳房USにおけるABVSの意義」と題して講演を行った。戸侮≠ヘ,わが国における乳がん罹患率が上昇する傾向を指摘しつつ,専門医が不足しているなどの問題点を説明した。そして,乳がん診療の流れとして,存在診断(スクリーニング),質的診断(良悪性の鑑別),乳がんの広がり診断の中で,超音波診断装置がこれまで質的診断での適用が中心だったが,ABVSの自動スキャンにより,存在診断にも適用できるようになったと述べた。さらに,戸侮≠ヘ,ABVSによる検査について,安定化を図るためのスキャン方法の検討結果と検出率を解説し,従来の超音波診断装置と比べ,ABVSの検出率が優れていると報告した。
ほかの会場では,国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの内山菜智子氏が講師を務めた医師,診療放射線技師それぞれを対象にした読影のポイントについての講習が設けられた。また,MAMMOMAT Inspirationなど撮影装置を用いたポジショニングの講習,ABVSのハンズオン,マンモグラフィの基礎的な技術に関する講義も行われた。 |