(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンは2月27日(土),ベルサール神田(東京)において,「第14回Parallel Imaging Symposium」を開催した。代表世話人を筑波大学の南 学氏が務め,“Oncology care cycle”をテーマに,予防,スクリーニング,診断,治療,フォローアップといった一連の流れの中でMRIが果たしうる役割などについて,3部構成で7名の演者が講演した。また,北海道,浜松,沖縄の3か所に設けられたサテライト会場には,東京の本会場での講演がライブ中継され,質疑応答では,各会場からも多くの質問が寄せられた。
第一部は川崎医科大学の伊東克能氏が座長を務め,2題の講演が行われた。福岡大学の吉満研吾氏は,「Oncology care cycle:MRの貢献」と題し,MRIの有用性や,予防,診断,フォローアップなどにMRIがどのように貢献するかなど,本シンポジウム全体を通したテーマの概観を述べた。神戸大学の大野良治氏は「肺癌診療におけるWhole-body MR Imaging」と題して講演。全身MRI検査は肺がん患者のN-因子およびM-因子診断においてPETやPET/CTと同等以上の診断能があるとしたほか,拡散強調画像を全身MRIに追加することで,診断能の向上が期待できると報告した。
第二部は吉満氏が座長を務め,2題の講演が行われた。東海大学の室 伊三男氏は,「3.0T MRマンモグラフィのMultiTransmitによる効果」と題して講演し,B1不均一を改善するフィリップス社の新技術“MultiTransmit”搭載システムにおけるMRマンモグラフィの使用経験を報告した。筑波大学の那須克宏氏は,「3T装置におけるSlice Selective Gradient Reversal(SSGR)を併用した腹部拡散強調画像」と題して講演した。3T装置による躯幹部悪性腫瘍の診断で拡散強調画像を撮像する場合は,SSGR は必須の脂肪抑制法であり,SSGRを従来手法と組み合わせることで,1.5T装置以上の高画質が得られるとの検討結果を述べた。
第三部は南氏が座長を務め,3題の講演が行われた。北福島医療センターの君島伊造氏は,「乳腺外科診療におけるMRIの応用〜特に乳癌病巣の広がり診断と悪性度診断について〜」と題して,ADC測定の有用性や臨床病理学的因子との対比,T1値測定の有用性などについて述べ,ADCおよびT1値が乳癌の悪性度診断に役立つ可能性などを示唆した。防衛医科大学校の新本 弘氏は,「前立腺癌のDynamic Contrast-Enhanced MRI」と題して講演し,Pharmacokinetic parametersを用いたquantitative Dynamic Contrast-Enhanced MRIはがんの診断,治療効果判定に有用であり,血管新生阻害剤の臨床応用が進むことで,さらにその重要性が高まると展望した。筑波大学の森 健作氏は,「Interventional RadiologyのためのMR Imaging」と題して講演した。MRIは,IVRにおける治療効果判定に有用であるとして,フェルカルボトランのクリアランス障害を利用したMRIによる焼灼マージンの描出法を紹介し,安全・低侵襲・高精度な治療のために,MRIをもっと積極的にIVRに利用すべきとの見解を示した。 |