(株)島津製作所は2月10日(水),同社三条工場研修センター(京都市中京区)において,「第87回レントゲン祭・記念講演会」を開催した。レントゲン祭はX線を発見したレントゲン博士の偉業をたたえ,X線技術の発展に向け決意を新たにするために同社が毎年開催している。
式典では,同社取締役医用機器事業部長の鈴木悟氏が式辞を述べた。同社が2003年に世界初の直接変換方式FPD“Safire”搭載のX線装置を市場に投入して以来,全世界で750台の“Safire”搭載装置が稼働している。鈴木氏は,特徴である高精細画像と培ってきた画像処理技術をもとに新たなる臨床的価値を付加すべく,“トモシンセシス”などのアプリケーションに注力していると述べた。さらに,「X線技術の島津として,自らのもてる力を生かし,さらに発展させ,診断のみならず,予防や治療においてもX線技術を通じて弛まざる挑戦を続ける」と力強く宣言した。その後,代表取締役社長の中本晃氏による祭詞・献花が行われた。
続く記念講演では,同社の河合益実氏(医用機器事業部マーケティング部)が,「島津エックス線101年の足跡〜IVRの技術成果を交えて〜」のテーマで講演した。同氏は,X線検出器と画像処理技術の革新がIVRの発展に寄与してきたとして,特にDSAの数々の技術革新を紹介した。なかでも同社が1995年に提唱したRSM(Real-time Smoothed Mask)-DSAは,IVRにおいて有効な3D情報の把握を可能にした。そして,RSM-DSAを用いた NaviDAS(Navigation Digital Assistant System)コンセプトと,その発展応用の数々を紹介した。
次に,「解体新書発刊の謎に迫る〜放射線科医が見た光と影〜」をテーマに講演した隈崎達夫氏(日本医科大学常務理事)は,自らが所蔵する「解体新書」と,他に所蔵されている「解体新書」を示し,発行地の地番が違っている疑問から始まり,解体新書発刊にまつわる謎の数々を紹介した。さらには,発刊時の時代背景や解剖にまつわるエピソードも紹介した。日頃なかなか聞けない日本の医学における歴史の一端として,大変興味深い講演であった。 |