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取材報告

2010
保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)
2009年度講演会&賀詞交換会開催〜「市民のためのAi」を海堂尊氏が講演


西原栄太郎氏(JAHIS運営会議議長)
西原栄太郎氏
(JAHIS運営会議議長)

特別講演の海堂尊氏(医師・作家)
特別講演の海堂尊氏
(医師・作家)

 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の2009年度講演会と賀詞交換会が,1月15日(金),コクヨホール(港区)で開催された。

 講演会では,JAHISの運営会議議長である西原栄太郎氏が「年頭にあたっての抱負」を述べた。西原氏は,まず昨年の保健・医療・福祉情報システムの動きを振り返って「政権交代によってIT政策の流れや補助金など予算の執行が見直されて不透明な部分がある」としながら,地域医療再生基金(25億円×95か所)や診療報酬のプラス改定など明るい要素があり,特に地域医療再生基金の中では“ITによる連携”が取り上げられており,「どの程度の規模になるかわからないが,それなりの部分でJAHISの関連企業が関わることになると注目している」と述べた。また,昨年末に出された総務省のICT維新ビジョン(原口ビジョン)では施策例として2015年までに『EHRを全国民を対象に実現』と挙げられており,また年末に閣議決定された新・成長戦略では2020年までに『医療介護新規市場45兆円,雇用280万人,医療・介護・健康関連産業の成長産業化』が盛り込まれるなど,医療IT関連への期待が大きいことを示した。
 その上で,JAHISの2009年のトピックスを振り返り,レセプト請求オンライン化への取り組み,JAHIS基盤強化,標準化活動・対外活動の強化などに取り組んできたことを紹介した。2008年度のJAHIS会員の直接売上高は,前年比10%プラスの約4000億円で,電子カルテを中心に順調な伸びを見せた。また,会員企業も344社と増加しており,厳しい経済状況の中で堅実な成長を続けている。それを受けて,JAHISでは2010年の活動のエポックとして,組織の一般社団法人への移行を進める。15周年を期して昨年から準備を進めてきたが,今年6月の総会のタイミングで,現組織を解散して登記などの設立準備を進め,新体制に移行して9月から業務を開始する予定だ。
 そのほか2010年に向けては,短期目標として地域の医師不足など医療が直面する問題に工業会の責任として対応していくこと,中長期では理念と言葉が先行しているEHRの実現のために,具体的にどのように対応していくのか,組織の見直しなども含めて取り組んでいくとした。西原氏は「昨年から政治経済を含めて大きな変化が起きている。幸いにして,一時の危機を乗り越えて明るい兆しが見えてきた。変化をチャンスととらえて関係団体,業界と連携しながら,医療界,業界が明るく伸びていけるように取り組んでいきたい」と結んだ。

 続いて行われた新年講演会は,医師であり作家である海堂尊氏による「市民のためのAi」。Ai(死後画像診断)の必要性について「情報はオープンにするからこそ信頼される。Aiは死因検索の閉鎖性をクリアにする重要なツールだ。Aiの行使とチェックする機構が,同じ組織では市民から信頼を受けない。Ai情報の改ざん防止やダブルチェックをネットワークで行う『Ai情報センター』が昨年12月に立ち上がっている。日本の医療を救うための最終ディフェンスラインであるAiをめぐる活動をサポートしてほしい」と訴えた。
 講演会に続いて,厚生労働省,経済産業省,MEDIS-DCなど関係者も交えて賀詞交換会が行われた。


●問い合わせ先
保健医療福祉情報システム工業会
TEL 03-3506-8010
http://www.jahis.jp