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取材報告

2009
AZE
「INNOVATIVE AZE 2009 TOKYO」開催

■ INNOVATIVE AZE 2009 TOKYO
■ ランチョンセミナー


会場風景
会場風景

関橋秀治氏(取締役副社長)
関橋秀治氏(取締役副社長)

座長:岡本孝英氏(帝京大学)
座長:岡本孝英氏(帝京大学)

山本晃義氏(医療法人共愛会戸畑共立病院)
山本晃義氏(医療法人共愛会戸畑共立病院)

伊藤 仁氏(医療法人朗源会大隈病院)
伊藤 仁氏(医療法人朗源会大隈病院)

石風呂実氏(広島大学)
石風呂実氏(広島大学)

畦元将吾氏(代表取締役社長)
畦元将吾氏(代表取締役社長)

座長:栗林幸夫氏(慶應義塾大学大学院)
座長:栗林幸夫氏(慶應義塾大学大学院)

波多伸彦氏(ハーバード大学・ブリガムアンドウィメンズ病院)
波多伸彦氏
(ハーバード大学・ブリガムアンドウィメンズ病院)

畦元秀隆氏(営業本部部長)
畦元秀隆氏(営業本部部長)

 (株)AZEは11月21日(土),東京国際フォーラム(千代田区)において,医用画像処理ワークステーションAZE VirtualPlaseシリーズの使用経験や有用性を報告する「INNOVATIVE AZE 2009 TOKYO」を開催した。

  同社は今年で設立から10年を迎え,主力製品であるAZE VirtualPlaseシリーズは,1000台の納入を達成。米国では2008年12月に販売を開始してからすでに約100サイトでの稼働実績を誇り,アジアにおいても10サイト以上の稼働実績を持つ。当日は,最先端の画像処理技術を応用するユーザーからの講演が行われた。

  取締役副社長の関橋秀治氏の開会の挨拶に続いて行われた招聘講演では,千葉大学医学部附属病院循環器内科宇宙航空研究開発機構顧問医の船橋伸禎氏が「320列CTの新しい有用性」と題して,循環器領域における,VirtualPlaceを用いた四次元解析の経験を報告した。

  次に,帝京大学医学部附属病院中央放射線部技師長の岡本孝英氏が座長を務め,3題の講演が行われた。

  医療法人共愛会戸畑共立病院画像診断センターの山本晃義氏は,「消化器領域におけるCT・MRI画像を用いたワークステーションの臨床使用経験」と題して講演した。山本氏は,ワークステーションを効果的に利用するためには,病変部の位置・大きさ・性状や周囲組織への浸潤の状態など,ポイントを押さえた解析が必要だと述べた上で,同院において,消化器疾患で主に行われている画像処理法として,MPR,CPR,ボリュームレンダリング(VR),フュージョンを挙げた。そして,多数の臨床画像を示して各画像処理法の特徴を説明し,消化管・脈管の画像処理はCPR,血管系はVR,全身のMRI検査では,検査シリーズの異なる画像を長尺表示することが可能な「VR+VR」機能が有用であるとまとめた。

  医療法人朗源会大隈病院画像診断センターの伊藤 仁氏は,「当院における冠動脈ADCT検査 使用経験」と題して講演。同院では,320列CT(ADCT)の導入から半年で約600例の冠動脈CT検査が行われている。伊藤氏は,320列CTの特徴を生かし,高画質を維持したまま,より低侵襲な冠動脈CTのプロトコールを確立することを常に念頭に置いて検査に取り組んでいると述べ,冠動脈CT検査の流れや撮影条件を説明した。ワークステーションは,AZE Virtual Place Raijinを導入しており,冠動脈CT解析と処理の応用編として,マルチボリュームタスクを用いた左右冠動脈別位相処理やPWMIP表示を用いることで容易なVR処理が可能であることなどを紹介した。

  広島大学病院診療支援部高次医用画像部門部門長の石風呂実氏は,「実践3D-CT:収集から表示まで」と題して講演した。石風呂氏は,一目見て疾患を理解できる三次元画像の提供には,作成者の知識と技量が求められるとして,良好な三次元画像作成のための撮影技術のポイントを説明。さまざまな処理を行った三次元画像などを紹介し,三次元画像は,医療に大いに貢献できる画像であると強調した。

  代表取締役社長の畦元将吾氏は,同社の今後の展開を説明。DTI,T2 Mapping,Fusion-EX,新・骨抜き機能といったAZE VirtualPlaceの新機能や,医師や診療放射線技師の意見を反映してさらに使いやすくなった新ビューワなどを紹介した。

  次いで,慶應義塾大学大学院研究科内科系専攻放射線医学教授の栗林幸夫氏が座長を務め,ハーバード大学医学部准教授・ブリガムアンドウィメンズ病院画像誘導手術プログラム技術部長の波多伸彦氏による特別講演「3D Slicerで展開する医療画像処理と画像誘導手術」が行われた。同院では,病院の中での医工連携が行われており,工学研究と臨床研究を一体化することで,工学技術をいち早く医療に応用できるようになっている。工学者である波多氏は,医師,診療放射線技師,科学者,プログラマーなど,さまざまな専門家とともに研究を進められる同院の環境のメリットを紹介した上で,オープンソース医用画像処理ソフトウェア“3D Slicer”を用いた研究内容を発表した。オープンソースは,ソフトウェアの著作権を守りながらソースコードを公開するもの。また,3D Slicerは,波多氏が最初に開発を行った,三次元医用画像処理および画像誘導手術のためのソフトウェアで,現在オープンソースソフトウェアとしてソースコードを開示しながら発展を続けている。波多氏は,広島大学,愛媛大学,AZE社と連携して進められた心臓SPECT/CT画像統合に関する研究の詳細を報告し,AZE社のソフトウェア上で実現することができたと説明した。このほか,四次元の医用画像処理,術中トラクトグラフィの可能性について報告し,こういった技術が成熟することで,新しい手術が可能になり,そこで新たなニーズが生まれることで,病院の中の医工連携がさらに意味のあるものになってくるとまとめた。

  最後に,営業本部部長の畦元秀隆氏が,「おかげさまで,当社は設立から10年の節目の年を迎えた。今後,さらに人と社会に役立つ製品づくりをめざして取り組んでいきたい」と閉会の挨拶を行い,会は盛況の内に幕を閉じた。
  また同社は,2010年3月13日(土),シャングリ・ラ ホテル東京(千代田区)において,3Dワークステーションを使用した臨床的に有用な画像(解析)を選定,表彰する「AZE展」を開催する。3Dワークステーションのポジションを高めることを目的として行われる同展は, AZE社のワークステーションに限らず,すべてのワークステーションで作成した画像の応募が可能。申込受付期間は,2009年11月16日(月)〜2010年1月22日(金)までとなっている。


■ メーカーおよび代理店向けに業務内容や今後の展望を説明するランチョンセミナーを開催


会場風景
会場風景

畦元将吾氏(代表取締役社長)
畦元将吾氏(代表取締役社長)

波多伸彦氏(ハーバード大学・ブリガムアンドウィメンズ病院)
波多伸彦氏
(ハーバード大学・ブリガムアンドウィメンズ病院)

  同社は,「INNOVATIVE AZE 2009 TOKYO」に先立ち,同日,本社(千代田区)において,メーカーおよび代理店を対象としたランチョンセミナーを開催し,業務内容や今後の展望を説明した。

 セミナーでは,マーケティング部,アプリケーション部,開発部をはじめ,さまざまな部門から,顧客サポート体制や製品ラインナップ,製品開発体制などが説明された。また,畦元代表取締役社長が,カスタマーサービスや製品開発に力を入れる同社の事業方針を説明。さらに,来年に中部支店を開設することや,東北支店の開設および米国における開発体制の強化を検討していることを発表した。

 セミナーではこのほか,INNOVATIVE AZE 2009 TOKYOで特別講演を行った波多氏が,同講演の内容を集約した発表を行った。


●問い合わせ先
(株)AZE
TEL 03-3212-7721
http://www.aze.co.jp/