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取材報告

2009

NPO法人 乳房健康研究会,プレスセミナー
「検証:ピンクリボン。乳がん検診受診率向上の鍵は?」開催


霞富士雄氏(順天堂大学附属順天堂医院)
霞富士雄氏
(順天堂大学附属順天堂医院)

高岡志帆氏(厚生労働省)
高岡志帆氏
(厚生労働省)

島田菜穂子氏(ピンクリボンブレストケアクリニック表参道)
島田菜穂子氏
(ピンクリボンブレストケア
クリニック表参道)

野末悦子氏(コスモス女性クリニック)
野末悦子氏
(コスモス女性クリニック)

会場風景
会場風景

 特定非営利活動法人 乳房健康研究会は11月12日(木),主婦会館プラザエフ(千代田区)において,プレスセミナー「検証:ピンクリボン。乳がん検診受診率向上の鍵は?」を開催した。

 同研究会は,乳がんの早期発見の大切さを啓発するため,2000年に立ち上げられ,2003年からNPO法人として活動している。ピンクリボンバッジ運動をはじめ,調査,出版,イベントやセミナーの開催など,さまざまな活動を行っている。その中で,乳がん検診に関する調査は,活動の柱の1つとして,隔年で実施されており,今年行われた調査では,研究会が活動を開始して来年で10年目を迎えるにあたり,これまでの成果の検証と今後の乳がん検診受診率向上の鍵を探る目的で,一般女性意識調査,産婦人科調査,男性意識調査が行われた。セミナーでは,これら調査結果の報告のほか,厚生労働省から乳がん検診率向上に向けた取り組みについての講演が行われた。

 冒頭,挨拶に立った同研究会理事長の霞富士雄氏(順天堂大学附属順天堂医院乳腺センター長)は,「乳がんは,基本的に予防ができず,早期発見が非常に重要である。早期発見により,大きな外科手術が不要となるほか,治療にかかる費用を抑制できるなどのメリットがある」と乳がんの早期発見の重要性を強調した。

 続いて,厚生労働省健康局がん対策推進室室長補佐の高岡志帆氏が,「乳がん検診受診率向上の施策」と題して講演した。高岡氏は,各種がん検診受診率の推移などを示した上で,乳がん検診受診率向上に向けた国の施策について説明。がんの早期発見における国の役割を,(1)市町村が行うがん検診について指針を定め,科学的根拠に基づいた検診実施を推進,(2)市町村が行うがん検診について,必要な財政支援(交付税措置)の確保に努める,(3)国民全体への検診受診行動を促すための普及啓発を行う,と説明した。また2009年度の施策については,乳がんおよび子宮頸がん検診無料クーポンと検診手帳の配布や,「がん検診50%推進本部」の活動などを説明。このほか,今年9月に行われた,がん対策に関する世論調査の結果を取り上げ,政府への要望については,がんの早期発見(がん検診)に対する要望が最も多かったとして,これに対して一生懸命取り組んでいきたいと述べた。また,がん検診未受診の理由の世論調査結果を示した上で,正しい知識の普及や受診機会の拡大などに取り組み,受診率向上につなげていきたいとまとめた。
次いで,調査結果の報告が行われた。

 まず,同研究会副理事長の島田菜穂子氏(ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長)が,「一般女性意識・行動調査」について,20〜60代女性419名を対象に,乳がんに関する知識や自己検診の実施率,マンモグラフィ・超音波診断検査の受診率,検診を受けやすい環境などについて調査した結果を報告した。島田氏は,受診率向上のためには,乳がん検診が職域検診に組み込まれていることや,女性スタッフによる検査など,受診者が検査を受けやすい環境づくりが大切だと述べた。島田氏はこのほか,「ピンクリボン運動の効果」と題して,ピンクリボン運動に対する認識を調査した結果を発表。ピンクリボン運動の認知度の向上は,マンモグラフィ検診受診を促す効果が考えられるとし,ピンクリボン運動の認識を確実に受診につなげることが,乳がん死亡率低下への鍵となると述べた。

 続いて,同研究会副理事長の野末悦子氏(コスモス女性クリニック院長)が,「産婦人科調査」の結果を報告。はじめに,乳がんを心配した人の半数以上が産婦人科を受診すると答えた調査結果を受け,今回の産科・婦人科医療施設(296施設:勤務医31.4%,開業医68.2%,無回答0.3%)における乳がん検診の実態を調査したと説明した。その結果,90%以上の施設で乳がん検診を行っており,視触診は95%以上,超音波診断検査は90%以上,マンモグラフィ検査は約45%の施設で実施されていることがわかったと述べた。また,今後は,乳がん検診の啓発活動,超音波診断検査,マンモグラフィ検診施設との連携などの取り組みを強化していきたいという意見が得られたと話した。

 霞氏は,「男性意識調査―ピンクリボン運動と男性のサポート」と題して,20〜60代の男性415名に対して,乳がんに関する知識やピンクリボン運動に関する認識を調査した結果を報告した。霞氏は, 90%以上の男性が,検診は乳がんの早期発見に有効であることを認識していると説明。しかし,妻に検診を勧めている夫はわずか20%程度だと述べた上で,乳がん検診受診率向上における男性のサポートの必要性を話した。


●問い合わせ先
特定非営利活動法人 乳房健康研究会
運営事務局
TEL 03-5565-3650
FAX 03-5565-4914
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