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取材報告

2009
第19回日本乳癌検診学会総会が札幌で開催
メインテーマは「乳癌検診の新たなる展望―日本人乳癌の疫学的検討」

■ 第19回日本乳癌検診学会総会
■ 機器展示


受付風景
受付風景

会場風景
会場風景

【パネルディスカッションU】

座長の大内憲明氏(東北大学大学院:右)と白井秀明氏(左:札幌ことに乳腺クリニック)
座長の大内憲明氏(東北大学大学院:右)と白井秀明氏(左:札幌ことに乳腺クリニック)

パネリスト
パネリスト

 第19回日本乳癌検診学会総会が11月5日(木),6日(金)の2日間,京王プラザホテル札幌にて開催された。医療法人社団札幌ことに乳腺クリニックの浅石和昭氏が大会長を務め,「乳癌検診の新たなる展望―日本人乳癌の疫学的検討」をメインテーマに,シンポジウム,特別講演,教育講演,会長講演,パネルディスカッションなどが行われ,超音波診断装置・デジタルマンモグラフィ・MRIなどによる乳がん検診,乳がん検診の精度管理,ソフトコピー診断などの幅広いテーマについての発表と活発な議論が交わされた。

 6日に行われたパネルディスカッションUでは,東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科学分野の大内憲明氏と医療法人社団札幌ことに乳腺クリニックの白井秀明氏が座長を務め,「超音波併用乳癌検診の確立に向けて―精度管理を含めて―」をテーマに,8名の演者による講演とパネルディスカッションが行われた。乳がん検診は国の指針でマンモグラフィ検査が基本とされているが,超音波検査での診断も行われており,関心もたかまってきている。そこで,「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」(厚生労働科学研究:戦略研究リーダー・大内憲明氏)が約12万人を対象にして2007年に開始され,継続中である。本大会のプログラムでも超音波検診が多く取り上げられており,また,実際の臨床現場においてもマンモグラフィとの併用検診が実施されている例が多いことから,今後,ますます超音波検査は注目されるものと思われる。本パネルディスカッションはこのような背景のもとに企画された。

 初めに,精度管理と教育をテーマに,それぞれ2名の演者による発表が行われた。住友病院診療技術部超音波技術科の尾羽根範員氏と川崎医科大学乳腺甲状腺外科/日本乳腺甲状腺超音波診断会議精度管理研究班班長の中島一毅氏が,超音波診断機器および手技の標準化と精度管理,精度管理に有用なファントムなどについて発表したほか,筑波大学臨床医学系放射線科の東野英利子氏が日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)教育委員会主催または共催の乳房超音波講習会の実際について,(株)ソノグラファーズの佐久間 浩氏が日本超音波医学会(JSUM)認定超音波検査士の特性と乳房超音波検査を担う超音波検査士の教育などについて述べた。

 また,乳房超音波検診の現状として,東北大学腫瘍外科/宮城県対がん協会の河合賢朗氏は,より良い検診体制を構築するための体制作りや超音波検査士養成のあり方,精度管理の現状,乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験“J-START”などについて幅広く考察。続いて,福井県済生会病院乳腺科の笠原善郎氏は,2008年からJ-STARTに参加している同院における,診療放射線技師の一種担当方式によるマンモグラフィ検査と乳腺超音波検査の導入経緯,診療の実際および課題が報告された。

 このほか,聖路加国際病院放射線科の角田博子氏は,超音波検診における要精査基準の問題点と題して,乳がんを効率良くかつ確実に拾い上げるために重要な要精査病変の分類と定義などについて詳述し,最後に,りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科の位藤俊一氏が,FDAで認可され上市されている唯一の乳腺超音波画像CADソフトウエアである“B-CAD”(Medipattern社製)の機能と臨床的有用性に関する検討結果を報告した。

 これらの発表内容を踏まえて行われたパネルディスカッションでは,精度管理,教育研修,技師養成などをテーマに,さまざまな意見交換が行われた。

  次回の第20回日本乳癌検診学会総会は,2010年11月19日(金),20日(土)の2日間,光山昌珠大会長(北九州市立医療センター)のもと,福岡国際会議場にて開催される予定である。


●問い合わせ先
日本乳癌検診学会
TEL 03-6267-4550
http://www.jabcs.jp
jabcs@mycom.co.jp



機器展示

GE ヘルスケア・ジャパン

GE ヘルスケア・ジャパンブース デジタルマンモグラフィ「Senograph DS Depister」 マンモグラフィ用ワークステーション「SenoAdvantage2.1」
GE ヘルスケア・ジャパンブース
手前は超音波診断装置「LOGIQ E9」
デジタルマンモグラフィ
「Senograph DS Depister」
マンモグラフィ用ワークステーション
「SenoAdvantage2.1」
マンモグラフィの画像をワンタッチで最適化する“Premium View”を搭載しているほか,オプションでCADも搭載可能。

同社ブースでは,実際の乳がん検診の流れに沿った展示を行った。検診から経過観察までを含め,マンモグラフィや超音波での検査や精査,MRIによる広がり診断までのすべてのステージで,画像診断を生かすための製品を展開していることをアピールした。

シーメンス旭メディテック

シーメンス旭メディテックブース syngo MammoReport 超音波診断装置「ACUSON S2000」と超音波自動ブレストボリュームスキャナABVS(Automated Breast Volume Scanner)
シーメンス旭メディテックブース syngo MammoReport
(左)3D Tomosynthesis画像,
(右)通常の撮影画像
超音波診断装置「ACUSON S2000」と超音波自動ブレストボリュームスキャナABVS(Automated Breast Volume Scanner)

同社は本学会総会で,「“3D Tomosynthesis” with MAMMOMAT Inspiration」を発表した。通常のX線撮影では二次元の画像で診断するため,病巣の位置の特定や,日本人に多い乳腺密度の高い患者では病変の発見が困難なケースがあったが,X線管球を左右に-25°〜+25°まで動かしながら25回の曝射を行って撮影する3D Tomosynthesisでは,1mmスライス厚の画像を動画のように動かしながら読影することで,従来は困難だった腫瘤の辺縁なども明確に診断できるようになると期待されている。また,MAMMOMAT Inspirationでは,X線管球にモリブデンとタングステンの2種類を用いることで,通常の撮影時の被ばく線量は1mGyに抑えられているが,3D Tomosynthesis においても1.5mGyという低被ばくを実現している。5日には,国内の共同研究先である国立がんセンターの内山菜智子氏によるランチョンセミナーが開催された。

日立メディコ

日立メディコブース 同社ブースでは,デジタルマンモグラフィ「Selenia M-IV」と超音波診断装置「HI VISION Preirus」が中心に展示された。HI VISION Preirusでは,エラストグラフィがバージョンアップし,探触子による圧迫の程度をストレイングラフとして表示することで,手技の視覚的・定量的確認やフィードバックが可能となった。

富士フイルムメディカル ジョンソン・エンド・ジョンソン
富士フイルムメディカルブース ジョンソン・エンド・ジョンソンブース

■機器展示会場のようす
機器展示会場のようす 機器展示会場のようす