国内初の心臓CT/MRIの撮影・画像解析・再構築に特化した画像診断センター「心臓画像クリニック飯田橋(Cardiovascular Imaging Clinic:CVIC)」が11月1日,東京都新宿区に開設される。それに先立ち,10月21日(水)にはスター会議室飯田橋において,同クリニック主催〔協力:ザイオソフト(株)〕のメディアセミナーと施設見学会が開催された。
日本では近年,高齢化および生活習慣の欧米化に伴い,循環器疾患の有病率が増加している。心疾患による死亡患者数は,悪性新生物に次いで第2位の年間約16万人にのぼり(2005年厚生労働省データ),予防および早期診断の重要性はますます高まっている。一方,心臓画像診断の技術はここ数年で急速に進歩し,特に64列MDCTの登場やMRIの技術向上によって,心臓検査をより低侵襲かつ簡便に行うことが可能となり,予防や早期診断にも大きく貢献するようになった。しかし,CTやMRIによる心臓検査を行うためには,他部位の検査と比べて高度な知識・技術を要するほか,検査や画像再構成にも時間がかかり,検査時間等に対して検査料の設定が低いなど,さまざまな問題を抱えている。そこで,循環器科医で放射線科医の寺島正浩氏は,こうした課題の解消などをめざし,主に紹介患者の心臓画像診断を行う同クリニックおよび心臓CT/MRIの三次元画像再構成を受託する3D画像ラボ,またそれらの運営をサポートするCVイメージングサイエンス(株)を設立した。
同クリニック設立の理由について寺島氏は,約7年半にわたって米国スタンフォード大学で心臓画像診断に関する研究に従事してきた経験を通し,心臓CTおよび心臓MRIの可能性に強い確信を得たことを挙げ,その研究成果を日本の医療現場に還元するとともに,医療現場が抱える課題の解消にも貢献していきたいと述べた。また,今後5年間で全国に5つの心臓画像クリニックを展開するほか,3D画像ラボをデータセンターとして臨床データの蓄積を行うと同時に,クリニカルエビデンスに基づく企業や国内外の大学・研究機関との共同研究を行い,最終的には患者さんへの画像情報の提供も行っていきたいと展望した。
同クリニックの診療は,64列MDCT,1.5T MRI,循環器用超音波診断装置,3Dワークステーション「ZIOSTATION」を活用して行っていく。3D画像ラボにもZIOSTATIONが設置されており,検査後は画像データを3D画像ラボに転送すると,遠隔画像再構成が行われる。画像再構成をアウトソースすることで検査効率を高め,検査結果は原則24時間以内に紹介医に返却される。検査予約は1週間以内とし,1日の検査数はCTで20名,MRIで12名をめざす。 |