(株)日立メディコは,9月12日(土),秋葉原UDX(千代田区)において,全国発明表彰 朝日新聞賞受賞記念セミナー「非血管系インターベンションの最新情報―CUREVISTAの可能性」を開催した。ユーザーやメーカー関係者など約150名が参加した。
全国発明表彰は,1919年の第1回帝国発明表彰に始まり,発明の完成や実施化に尽力した人を表彰するもので,最も優れた発明などに対して恩賜発明賞が授与されるほか,朝日新聞発明賞など,9つの特別賞がある。今回,同社の透視撮影システム「CUREVISTA」が,平成21年度全国発明表彰において,朝日新聞発明賞を受賞したことを受けて記念セミナーが開催された。
本セミナーでは,技術講演と特別講演が各2演題行われた。
はじめに技術講演が行われ,同社XR営業本部の小松浩樹氏が, CUREVISTAおよびEXAVISTAの製品紹介を行った。小松氏は,同社の医療機器は,Patient-Friendly(人への優しさと現場環境に配慮した医療機器)というコンセプトに基づきデザインされており,CUREVISTAでは,ユーザーの意見を徹底的に追求して装置に反映するスタイルを貫いて開発されたと説明。そして,CUREVISTAの大きな特長として,天板と映像系が一体となってスライドする“オフセットテーブル”,X線管装置支持部がオフセットとなった“オフセットアーム”,映像系横手スライド機構を採用した“2ウェイアーム”を紹介し,これらにより,広いワークスペースの提供や検査の安全性向上を実現したと述べた。また,CUREVISTAとEXAVISTA共通の特長である,1画素をそのまま読み出す詳細透視モードでは,高解像度・高コントラストの画像が得られるため,IVRや内視鏡検査などで有用であると説明した。
同社XRシステム本部の鈴木克己氏は,「Vista Panelの物理特性―開発経緯と画質性能」と題して講演した。Vista Panelは,CUREVISTAおよびEXAVISTAに搭載されたFPDで,従来比約2.5倍のワイドダイナミックレンジを実現したことで,整形外科領域や一般撮影などにも対応できるようになった。また,スイッチング素子内浮遊容量の最適化とデータ読み出し基板の新規開発により,アドレスライン方向のノイズを大幅に低減。より低線量での透視撮影が可能となっている。
続いて,ユーザーからの報告として,特別講演2演題が行われた。
大阪大学医学部附属病院医療技術部主任技師の前田大助氏は,泌尿器科と婦人科検査におけるCUREVISTAの有用性について講演した。前田氏は,泌尿器科で行われる検査内容や方法を説明した上で, CUREVISTAを選定したポイントを述べた。前田氏は,テーブル両端より各10cmから透視・撮影が可能なため,ドアの配置などに配慮が必要な泌尿器科・婦人科検査にも柔軟に対応できることや,造影剤や尿などがしみこむことのないフルフラットのシームレス構造などを評価したと述べた。また,テーブルを固定したまま視野移動が行えるため,体内に金属の検査器具が挿入される逆行性腎盂造影検査なども非常に安全に行えると説明した。
東京大学医学部消化器内科助教の伊佐山浩通氏は,「最先端の膵胆内視鏡治療とCUREVISTAの有用性」と題して講演。現在,多岐にわたる手術がIVRで行われているため,放射線透視室は今や手術室であると述べた。その上で,CUREVISTAのテーブルは手術台とも言えるとし,テーブルの奧側にも広いワークスペースが確保できるCUREVISTAの有用性を強調した。また,近接操作卓でもワンタッチで透視レートを切り換えることで透視線量を低減できることについて,術者の被ばくにも配慮された装置だと評価した。このほか伊佐山氏は,メタリックステントを用いた膵胆内視鏡治療について,多数の症例画像を提示しながら治療成績などを紹介した。 |