シーメンス旭メディテック(株)は8月29日(土),ホテルパシフィック東京(港区高輪)にて14時より,「第1回Definition Symposium」を開催した(会長:内藤博昭氏・国立循環器病センター放射線診療部部長)。参加者は,放射線科医,循環器科医,診療放射線技師など約240名にのぼり,4時間にわたる密度の濃いシンポジウムとなった。
同社は2005年,世界初のDual Source CT「SOMATOM Definition」を世界同時発表し,そのユニークな先進技術で大きな注目を集めた。2つの管球および2つの64スライス検出器による同時撮影とデータ収集により,時間分解能83msを実現し,心拍数にとらわれない心臓CT検査を可能にした。また,2つの管球から同時に,エネルギーの異なるX線照射を行うデュアルエナジーイメージング(Dual Energy Imaging)が可能であり,機能診断などさまざまな応用が期待されている。
さらに,昨年のRSNA2008では,新たに128スライス検出器を搭載したDual Source CT「SOMATOM Definition Flash」を発表。時間分解能75ms,ハイピッチ・ダブル・スパイラル・スキャンによる46cm/sの超高速撮影スピードという驚異的な性能を実現した。このほか,1mSv以下という被ばく線量の大幅な低減を可能にし,やさしさを表現するキャッチフレーズ“Healthier CT(ヘルシアCT)”を打ち出した。RSNA2008の同社ブースで,植物や果物がディスプレイされた“ヘルシアCT”の展示が話題になったことは記憶に新しい。また,デュアルエナジーイメージングでのFOVを330mmに拡大し,さらなる精度と画質の向上が図られたことも大きな特徴である。
今回のシンポジウムは,循環器領域で高く評価されているDual Source CT「SOMATOM Definition」のユーザー施設からの発表が3題,および,すでに実践的な臨床応用が開始されているデュアルエナジーイメージングのユーザー施設からの発表が4題企画された。実用化で先行しているDual Source CTによるデュアルエナジーイメージングの研究成果は,新たな診断学を構築する可能性を秘めていると言える。
さらに,7月25日に「SOMATOM Definition Flash」の国内1号機が導入された榊原記念病院から初期使用経験が報告され,注目された。稼働から3週間で経験した心臓検査102例(成人86例,小児16例)についての経験では,驚異的な低被ばくの実現と,特に小児など適応症例の広がりを実感し,循環器の診断・治療戦略の変化を予感しているという。供覧された臨床画像の画質(SNRの向上)にも目をみはるものがあった。今後,「SOMATOM Definition Flash」の性能がどこまで引き出され,どのように臨床に貢献していくかが,大いに期待される。
●Special Report |
Initial Experience of Definition Flash
井口信雄氏
(榊原記念病院循環器内科) |
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