シーメンス・ジャパンは7月2日(木),同本社1階のシーメンス・フォーラム・ジャパン(東京・品川区)において,「乳がん検診啓発セッション」を開催した。これは,シーメンス(株)において2008年3月に発足した,「すべての社員がオープンかつ平等な職場で楽しく働ける環境」づくりをめざす“Women's Network”の取り組みの一環として行われたもの。同社社員および近隣住民を対象としており,乳がん診断の専門家による講演を中心に,乳がん検診の重要性と最新の検診情報などが紹介された。
冒頭,シーメンス旭メディテック(株)代表取締役社長のRui BRANDAO氏が挨拶に立ち,同社のヘルスケアに関する取り組みについて紹介した。また,シーメンス(株)の浜川綾美氏が,Women's Network発足の経緯と具体的な取り組みについて紹介したほか,シーメンス旭メディテック(株)マーケティング部クリニカルソリューション部の水内宣夫氏が,乳がん検診の早期発見,診断,治療,アフターケアにかかわる同社のソリューションについて詳述した。
続いて行われた講演では,亀田メディカルセンター乳腺科部長の戸崎光宏氏が,「乳がんの画像診断と最近の治療」と題して,(1) 日本のがんの現状,(2) いろいろながんの乳がんの様式,(3) 乳がんの診断方法:画像診断,(4) 非切除治療の可能性について述べた。同センターは,国内で唯一,MRガイド下乳腺バイオプシーが施行可能な施設であり,施行開始からの約2年間ですでに約100例に対して施行し,優れた成果を上げている。その中心となる戸崎氏は,American College of Radiology(ACR)の乳腺MRIのガイドラインであるBI-RADS-MRI Lexiconの2010年の改定委員の一人に名を連ねており,国内における乳がん診断ガイドラインの策定においても中心的な役割を担っている。講演で戸崎氏は,日本と欧米の乳がん検診の比較を通して,マンモグラフィ検診の受診率が伸び悩んでいるといった日本の問題点を浮き彫りにしたほか,乳がん手術の歴史と具体的な手術法,乳がん診断に使用される各装置の特徴,MRIの高い診断能などについてわかりやすく紹介し,MRガイド下乳腺バイオプシーの必要性を強調した。また,まずは一人でも多くの人が乳がん検診を受診することが重要であると述べた。 |