西原榮太郎氏
(JAHIS)
土屋文人氏
(東京医科歯科大学)
望月聡一郎氏
(厚生労働省)
秋山祐治氏
(厚生労働省)
篠田英範氏
(JAHIS)
橋詰明英氏
(JAHIS)
会場風景
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保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は,5月21日(木),三田NNホール&スペース(港区)において,「医療の安全を支えるITについて考える」をテーマに,JAHISセミナー2009を開催した。
セミナーでははじめに,JAHIS運営会議議長の西原榮太郎氏が,「医療安全にITがどう寄与できるかを今回のセミナーを通して考えていきたい」と述べ,医療IT分野におけるJAHISの役割やセミナー開催の背景を説明した。続いて東京医科歯科大学歯学部附属病院薬剤部長の土屋文人氏が,「病院情報システムと医療安全―医薬品関連事故防止対策の落とし穴と病院情報システムへの期待」と題して講演。医薬品関連医療事故についてその防止策を述べた上で,処方,調剤,服薬・使用といった,薬物療法に関する情報が正確に記録されることが病院情報システムに求められるとし,そのためには医薬品マスタは全件マスタとすべきであるなどの考えを示した。また,病院情報システムと薬局システムの情報共有の仕組みを早急に確立する必要性も強調した。次いで,厚生労働省から,医政局総務課医療安全推進室主査の望月聡一郎氏と同局政策医療課医療技術情報推進室室長補佐の秋山祐治氏がわが国の医療安全対策について講演した。望月氏は,「医療安全推進のための国の制度について」と題して,国内の医療事故の現状や発生頻度に関する国際比較の結果を述べたほか,医療安全に関する同省のこれまでの取り組みを述べた。秋山氏は,「医療の情報化の観点から」と題して講演し,保健医療情報標準化会議や医療情報ネットワーク基盤検討会の活動内容などを説明した。また,21年度厚生労働科学研究費補助金において,喫緊の課題である標準的な医薬品データマスタの作成にも力を入れていくと述べた。このほか,JAHISから,標準化推進部会副部会長の篠田英範氏と同部会安全性・品質企画委員会委員長の橋詰明英氏が講演した。篠田氏は,医療安全と医療ITの利用について講演し,標準に基づく相互運用性の担保されたシステムは良質な医療提供の基本であり,医療の質向上につながるものだと述べた。橋詰氏は, JAHISが2001年に策定したオーダリングシステムにおける「処方ミス対策ガイドライン」の概要と今後の課題などを述べたほか,ソフトウエアの薬事法規制について,現在の動向を説明した。 |