(財)医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)は3月20日(金),「電子カルテ導入フォーラム」を開催した。現在,パッケージ型電子カルテシステムが普及する一方で,IT化の効果を十分に得られず,安全管理体制の整わない状態で運用しているケースが見られる。フォーラムは,このような状況を踏まえ,医療機関がIT導入を成功させるための標準的な導入手法を学ぶ場として,2006年5月から「医療IT導入・運用サポート講座」として開始。より医療機関が参加しやすいように内容の見直しを行い,今年から「電子カルテ導入フォーラム」として再スタートした。
第1回は1月30日(金)に行われ,今回が2回目。同センターのプライバシーマーク付与認定審査室の主任審査員である佐野弘子氏が講師を務めた。佐野氏は,「日経コンピュータ」誌が主催した「IT Japan Award 2007」で準グランプリを受賞した橋本市民病院の電子カルテシステム導入を手がけている。また,テキストには,MEDIS-DCが2007年10月に発行した「電子カルテ導入ハンドブック」が使用された。
講義の内容は,基礎編,準備編,導入編で構成され,そのほかにフリーディスカッションが設けられた。基礎編では,橋本市民病院の導入事例が示された上で,電子カルテシステム導入のためのコンセンサスや安全対策,スケジュールの考え方が解説されたほか,病院標準化整備度の指標について説明があった。準備編では,現状把握のポイントや,基本構想の考え方,仕様,ベンダー選定など,導入作業を始める前段階までのノウハウが紹介された。これに引き続き,導入編では,CIO(chief information officer)や組織体制のあり方,マスター整備,運用手順書や運用管理規程の作成,操作訓練など,電子カルテシステム稼働前に必要な作業が説明された。
フリーディスカッションでは,参加者から「先にオーダリングシステムを導入してから段階的に電子カルテシステムに移行した方がよいか」,「精神科病院では,中小規模ベンダーの精神科に特化した製品にするか,大手ベンダーのパッケージシステムの方がよいのか」といった質問が寄せられ,それに対し佐野氏が回答する形で進められた。
MEDIS-DCでは,今後もこのフォーラムを開催し,医療機関の電子カルテシステム導入をサポートするとしている。 |