NECは2月27日(金),本社ビル(港区)において「NEC医療セミナー2009」を開催した。電子カルテシステム「MegaOakHR」などの医療情報システムを手がける同社では,例年,医療ITに関するセミナーを開催している。今回は,前週の2月22日(金)にホテルニューオータニ大阪(大阪市)で行われたセミナーに続いて開催された。
開会に先立ち挨拶した同社医療ソリューション事業部の事業部長である山口琢也氏は,日本の医療ITの状況について,レセプトのオンライン請求と地域医療連携をキーワードに挙げ,それに対応した事業に力を注いでいくと説明。さらに医療機関の経営基盤強化に結びつくシステム,ソリューションを提供していくと述べた。
挨拶に続き,(財)倉敷中央病院常務理事の相田俊夫氏が基調講演を行った。講演のテーマは「持続可能な急性期病院の経営展開〜人・ハード・ソフトづくり〜」。相田氏は急性期医療に特化した同院の経営戦略について紹介。人材は最大の経営資源として,医師や看護師を確保するための取り組みについて説明した。また,新病棟建設などのハードウエアの整備について解説した上で,組織,医療の質やコストの管理などの手法を説明した。
続いて,実践セミナーとして大阪府立急性期・総合医療センターのクリニカルパス推進委員会委員長・泌尿器科部長の細見昌弘氏と看護部副看護部長の笹田友恵氏が,「『クリニカルパスを軸とした電子カルテシステム』の導入・運用・分析」と題して講演した。同センターは2007年にクリニカルパスを軸とした電子カルテシステムとして,MegaOakHRを導入している。このシステムの日めくりパス機能は,同センターが画面開発などに取り組んだ。講演では,院内体制などのクリニカルパスの導入手法やシステムの作り込みについて,笹田氏が説明。細見氏が実例として腎盂腎炎症例でのクリニカルパスを紹介しながら,今後の課題などを述べた。
これらの講演に加え,セミナーの休憩時間などには,システム展示会場で,ビデオによる日めくりパスといったクリニカルパスの機能についてのプレゼンテーションが行われた。このほか,DPCやデータウエアハウス,地域医療連携,RFIDなどのソリューションの展示もあり,会場は多くの参加者で賑わった。 |