(株)島津製作所は2月10日(火),同社三条工場(京都市中京区)において,「第86回レントゲン祭・記念講演会」を開催した。レントゲン祭は, X線を発見したレントゲン博士の偉業を讃え,X線技術の発展に向け決意を新たにするため,同社が毎年開催しているもの。
式典では,取締役医用機器事業部長の鈴木 悟氏が,「当社は,従来相反すると言われていた分解能と感度を兼ね備えた理想のX線検出器である直接変換方式FPD搭載のSafireを開発し,現在は全世界で600台を超えるシステムが稼働するに至っている。さらに近年,トモシンセシスやCT-like Imagingなど,新たな臨床価値を提供するアプリケーション開発にも力を入れている。トモシンセシスは,すでに多くの医療施設で臨床応用が始まっており,国内外で高い評価をいただいている。また,CT-like Imagingは,インターベンション治療中にその場でCTのような断層画像が得られることから,その有用性が認知されつつある。医療費削減の流れ中で,医療機関の経営は厳しい状況にあるが,当社は,顧客の期待に応えるために,自らの持つ技術を見つめ直し,さらに磨きをかけ,X線技術の島津として,新たな臨床価値を提供できるよう,たゆまぬ挑戦を続けていく」と式辞を述べた。続いて,代表取締役社長の服部重彦氏により,祭詞・献花が行われた。
続く記念講演会では,2題の発表が行われた。
日本鋼管病院放射線科技師長の村山好民氏は,「直接変換方式FPD・Safire搭載システムの使用経験」と題して講演。村山氏は,優れた空間分解能や広いダイナミックレンジを持つ直接変換方式FPDの利点を説明したほか,トモシンセシスを用いた臨床画像などを紹介した。トモシンセシスは,1回の断層撮影で任意の裁断面の再構成画像を収集できる技術で,立位や逆傾斜での撮影が可能,金属アーチファクトの影響が非常に少ない,被ばく線量がMDCTの約1/10などのメリットがある。村山氏は,整形領域をはじめ,ERCPや注腸造影などさまざまな部位の画像を紹介して,トモシンセシスの有用性を説明した。
日本鋼管病院副院長・放射線科部長の小川健二氏は,「放射線科の業務管理からIVRまで」と題して講演。小川氏は,臨床画像を多数提示しながら血管撮影システム「BRANSIST safire」を活用したIVRについて説明したほか, RSM-DSA,CT-like imagingなどのアプリケーションの有用性について高く評価した。このほか,放射線科の重要性,同院のモダリティやシステム導入の流れについても説明した。
*上記講演内容の詳細は,インナービジョン2009年4月号に掲載予定 |