(株)富士通総研は2月10日(火),経団連会館・国際会議場(東京・千代田区)において,「特別企画コンファレンス 日米におけるPHRと医療の近未来図〜PHRが変える今後の医療〜」を開催した。米国では,integrated healthcare network(IHN)とグーグル,マイクロソフトなどが連携して患者自らが健康情報を管理するpersonal health record(PHR)が広まりつつある。このコンファレンスでは,今後日本国内でも普及が予想されるPHRをテーマに,講演とパネルディスカッション,研究発表が行われた。
同社代表取締役会長の高島 章氏の挨拶に続き,ハーバード大学医学部Cheif Information Officer(CIO),ケアグループヘルスシステムCIO,グーグルヘルス・アドバイザーのジョン・D・ハラムカ氏が,「Connecting Patients, Providers, and Payers」と題して基調講演を行った。ハラムカ氏は,ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの「Patient Site」とグーグルヘルスの連携により,患者が日常生活の中で自らの健康情報にアクセスしている事例などを紹介した。
この特別講演に続き,東京医科歯科大学情報医科学センターセンター長の田中 博氏による特別講演「日本版EHRの実現に向けて」が設けられた。田中氏は,米国や欧州,カナダにおけるEHRの現状について紹介。その上で特定健診の義務化やレセプトオンライン化による健康情報のデータベースと,地域連携クリティカルパスなどによる情報などを組み合わせ,社会保障カードや電子私書箱を活用したEHRについて説明した。
このほか,富士通総研経済研究所の松山幸弘氏と江藤宗彦氏による「米国現地調査の報告」があった。また,パネルディスカッション「PHRの課題と近未来図」では,島根県立中央病院副院長の清水史郎氏,旭川赤十字病院副院長の牧野憲一氏がITを用いた地域連携の現状を報告した。 |